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 B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によっておこる肝障害で、感染が一過性に終わるもの(一過性感染)と生涯にわたり感染が持続するもの(持続感染)に分けられます。持続感染になりやすいのは、出産時ないし乳幼児期の感染です。

 感染経路としては出生時の母子感染、性行為、静脈注射麻薬の乱用、刺青、ピアスの穴開けなどがあります。1986年以降はワクチンと免疫グロブリンによる母子感染対策が行われるようになり、現在の若い世代では持続感染者は少なくなっています。

 HBVやC型肝炎ウイルス(HCV)は血液や体液を介して感染します。歯ブラシやカミソリの共有は避けましょう。また、けが、鼻血、生理などで出血した場合、周囲を汚さないように気を付ける必要があります。血液で周囲を汚した場合は紙でふき取り、ビニールで包んで捨てることが望まれます。お皿に盛られた食べ物をとって一緒に食事をすることや、入浴などの日常生活で感染することはありません。

 しかし、性行為などによる感染を完全に防ぐことは難しく、2016年10月からB型肝炎ワクチンが定期接種化されました。0歳児に限り公費で接種を受けられ、生後2カ月から接種可能です。接種回数は3回で、1回目の接種から4週過ぎてから2回目接種、20~24週後に3回目接種となります。

 主に思春期以降にHBVに感染した場合、感染して1~6カ月後にB型急性肝炎を発症します。症状の程度は個人差が大きく、風邪症状のみで患者本人が感染に気づかない程度の場合から、全身倦怠(けんたい)感、食欲不振、褐色尿、黄疸(おうだん)などの症状を呈し、まれではありますが、急性肝不全のため肝移植が必要となる場合や死に至るケースもあります。多くは一過性感染で1~2カ月程度で回復しますが、近年成人後の感染でも慢性化することがあることも報告されています。

 出産時および乳幼児期にHBVに感染すると持続感染となります。生後数年~十数年は肝炎の発症はなく、感染したHBVは患者の体内で共存しており、この状態を無症候性キャリアと言います。

 一般に10~30歳代に一過性に肝炎を起こし、多くはそのまま肝機能は安定したままとなります。しかし10~20%の人は慢性肝炎へと移行し、肝硬変へと進展することもあります。

 現在では核酸アナログ製剤(飲み薬)が持続する肝障害に対する治療の中心であり、多くのB型慢性肝炎はコントロール可能となっています。しかし核酸アナログ製剤はウイルスの排除は望めず、中止が難しいことが問題として挙げられます。服用中の患者さんが自己判断で中止すると、急性肝炎のような肝障害がみられることもあり、注意が必要です。

 加えて、この薬は胎児への悪影響も否定できないので、子供を持つ可能性のある患者の場合、男性も含めて治療が1年に限定されるインターフェロン注射がまず試されることが多くなります。

 また、HBV持続感染者は肝がんを発症することがあり、肝障害がない場合でも定期的な画像検査が必要となります。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/

 (弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座講師 遠藤哲)