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 高齢化が進んでいる住宅団地について、国土交通省は今春、再生に向けた事業を新たに始める。自治体などが、空き家を改修して高齢者支援や子育て支援の施設を整備する際の費用を支援する。若い世代の入居を促す狙いだ。

 住宅団地は、高度経済成長期に都市部で急増した人口の受け入れ先として周辺各地で建設された。国交省によると、5ヘクタール以上の大規模な住宅団地は全国に約3千カ所あり、その半数が三大都市圏に立地する。当時は子育て世代が一斉に入居したが、現在は高齢化が進み、空き家や空き店舗が増えている。バス路線の維持が困難になるなど利便性が低下し、若年世帯が入居しなくなっている団地が少なくない。

 こうした「負の連鎖」を断つため、国交省は空き家や空き店舗の活用に着目。自治体や住宅公社、民間団体が空き施設を使って高齢者や子育て世帯の生活支援施設を新設する場合、費用の一部を支援することを決めた。団地内の通路や緑道をバリアフリー化する際も支援対象となる。

 同省はこれまでも空き家を施設などに改修する際の支援は実施してきたが、住宅団地を単位にした事業は初めてという。街全体を支援することで、より効果的に若年世帯の誘致を進めるのが狙いだ。

カフェや遊び場にも

 自治体レベルでは、空き家を活用した地域活性化の取り組みが始まっている。

 横浜市は「地域まちづくり推進条例」に基づき、整備費用を助成している。この制度を利用し、同市金沢区の西柴団地では、団地内の空き店舗を活用した交流施設「さくら茶屋にししば」ができた。

 西柴団地は昭和30年代から開発が始まり、近年、少子高齢化が進んでいた。「地域を元気づけたい」と住民の有志が立ち上げた。気軽に立ち寄れるカフェとしてだけでなく、アートフラワーや歌など趣味の教室、買い物支援や子どもたちの遊び場としても活用されている。

 京都府八幡市のUR男山団地では2013年、関西大学とUR都市機構、市がまちづくりに向けた連携協定を結んだ。住民と学生が協働で運営。大学院生が常駐してお年寄りらの話し相手になるコミュニティー拠点や、団地集会所を改修した子育て支援施設を設置している。

 1972年に入居が始まったこの団地と周辺住宅には、市の人口の約3割にあたる約2万人が入居。市の担当者は「一斉に高齢化が進み危機意識を持っていた」と話す。運営開始後、団地の平均年齢は下がっているという。(岡戸佑樹)