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 夏に向けて貴重な経験を手に入れた。第90回記念選抜高校野球大会(日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援)に、21世紀枠で出場の膳所は24日、県内3校の先陣を切って、北信越王者の日本航空石川と対戦。0―10で敗れたものの、序盤は互角の戦いを繰り広げ、今夏100回を迎える全国選手権への思いを高めた。選手らの健闘に、三塁側アルプススタンドを埋め尽くした応援団からも惜しみない拍手が送られた。

粘投エース「力つけ、再び」

 思いっきり投げた直球は127キロだったが、気迫が上回った。「ここで絶対、切ろうと思った」。八回裏、5点を追加され、なおも2死一塁。打席にはこの日、先制打を含む2本の適時二塁打を打たれている日本航空石川の4番、上田優弥選手(3年)。初球、フェンス前の大飛球を右翼手がキャッチしたのを見届けると、膳所のエース手塚皓己投手(3年)は、表情を変えずベンチに戻った。

 昨夏の滋賀大会後に、腰痛を発症。秋の県大会準々決勝の近江戦で8回を投げたが、走り込みや投げ込みが十分できず。プールに通い、足腰を鍛えることに努めてきた。「体は動かしやすくなったし、腰の痛みもなくなってきた。ただ体力が不安要素だった」

 3万3千人の大観衆に包まれての投球だったが、緊張はしなかった。白く染まり、「Z」の人文字が浮かぶアルプスを見て「元気づけられた。いつも通り、打たせて取る投球をしていこう」と臨んだ。捕手の石川唯斗主将(3年)が「序盤はコントロールがいつもより良かった」と話すように、130キロ台の直球とスライダーで、タイミングをうまくずらす投球。五回までは、被安打4の2失点で、強打を誇る相手打線をかわしていた。

 六回以降は球が抜けるようになり、甘く入った球を捉えられた。「抑えようと気持ちが上ずったし、疲れも出ていたのだと思う」と手塚投手は振り返ったが、上品充朗監督は、「強打の相手にゲームは作れていた。粘っこい投球をしていたので、今後につなげてほしい」と期待を寄せる。

 試合後、「悔しさしかない」と唇をかんだ手塚投手だが、「強打者たちを相手に、序盤抑えられたのは良かった」。選手権滋賀大会に向け、走り込みと投げ込みに励むつもりだ。「体力をつけて、後半も持ち味が出せるようにしたい。県内の強豪校に勝って、もう一度ここに来ます」。大きな収穫を手に、夏を見据えた。(仲大道)

3500人応援団 「Z」一丸

 膳所のユニホームにあしらわれた「Z」の人文字が、三塁側アルプススタンドに大きく浮かんだ。OBや在校生ら約3500人がおそろいの白と紫のウィンドブレーカーをまとい、選手を後押しし続けた。

 大津市の田村進さん(76)も駆け付けた。前回出場した59年前の第31回大会の一塁手。当時の写真を3枚持参した。亡くなったチームメートも多いといい、「ここに来られなかった人の分まで応援したい」。

 相手の打球傾向を分析し、守備位置を大胆にずらす「データ野球」。遊撃手が二塁ベース寄りに立ち、中前安打になりそうな打球を内野ゴロに仕留めると、スタンドは大いに沸いた。

 OBで投手だった兵庫県芦屋市の会社員八田智幸さん(50)は「苦しい展開だが、守備位置を工夫し、健闘してくれている」。

 終盤突き放されても、「ふんばれ」と大声援。しかし、0―10で試合終了。男子バレーボール班の副主将で、応援団長の山藤慎也さん(3年)は「甲子園に連れてきてもらい、楽しませてもらった。もう一日、スタンドからの景色を見ながら応援したかった。夏に期待したい」と話した。(藤牧幸一)

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