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 屋内で花見の雰囲気を味わう「エア花見」「インドア花見」が流行している。週末には都心で桜が満開になったが、花見の名所・上野公園には変化も生じていた。「志向の多様化」を指摘する声もある。

 品川区にある料理レシピ動画サイト「クラシル」の運営会社「dely」は、社内の花見を今年から「エア花見」に切り替えた。20日夜にオフィスを訪ねると、スタッフ約20人が床に青いシートを敷き、手製の料理やビールを味わっていた。プロジェクターで壁に桜の動画を映し、スマートフォンで音楽を流す。

 幹事の小林夏美さん(27)は「花粉症なので、そもそも外のお花見が嫌でした」と動機を語る。昨年まで目黒川のほとりで花見を開いていたが「タクシーで買い出しに走ったり、場所取りしたり、大変だった。オフィスなら冷えたビールが冷蔵庫から出せるし、周りを気にする必要もない」。参加者は「やってみると意外に『お花見感』ありますね」と喜んでいた。

 一方、花見シーズンの週末を前にした23日午後10時の上野公園は、場所取りをする人たちが激減。雨の中、公園内でレインコートにくるまり座っていた会社員の久世和彦さん(46)は「いつもなら雨でも場所取り合戦なのに、こんな簡単にいい場所が取れるなんて」と拍子抜けした様子。

 「昭和オヤジの私には、徹夜で場所を確保してこそ花見。だけど同僚からは『花見のためにそこまでしなくても』と言われるんですよねえ」。翌日は好天に恵まれ大勢の人出でにぎわったが、徹夜の場所取り集団が激減した公園内は少人数のグループが目立った。

 レンタルスペース仲介業「スペースマーケット」では今年、「インドア花見」の予約件数が昨年の10倍以上に増えたという。同社の会員1313人への調査では「花見に行きたい」89・5%に対し「行きたくない」が10・5%。「混雑が嫌」「花粉症が辛い」「寒いのが嫌」が主な理由だった。「行きたくない」人の6割以上が「室内ならば行きたい」と答えた。

 「リアルな花でなくていいからパーティーで季節感を楽しみたいという方が増えた。楽しみ方が多様化している」と同社の広報担当者は分析している。(吉野太一郎)