[PR]

 自治体の倒産を未然に防ぐ。そんな狙いの地方自治体財政健全化法が施行されたのは、北海道夕張市が財政破綻(はたん)した翌年のことだ。それから10年。最悪水準の借金を抱える国と比べて、地方は指標上は財政再建が進んだ。ただ、緊縮財政で住民が流出する悪循環も起きている。健全化は、本物か。(山中由睦、矢吹孝文、吉川喬)

 JR夕張駅前に、人通りはない。人口8千人あまりの夕張市は、観光産業への過剰投資などで2007年3月に財政破綻した。市街地を歩くと、緊縮財政による傷痕があちこちで目に入る。

 役所の玄関は天井から水滴が落ち、雨漏り用のバケツが床に並ぶ。市営住宅の窓ガラスは割れ、電柱は傾く。11の小中学校は2校に統廃合し、図書館なども廃止。職員の月給は07年度に3割削った。職員数は破綻前(05年度末)の4割、100人余り。「命に関わること以外は全て削った」と鈴木直道市長(37)。手取りの給与は年約250万円だ。

 第1次安倍政権の時に成立し、08年4月に施行された財政健全化法は、こうした財政破綻を未然に防ぐためにできた。都道府県や市区町村ごとに指標の数値が基準以上になると、財政健全化計画などの策定が義務づけられる。自治体は歳出を減らし、借金を返すことに躍起になった。

 大阪府泉佐野市は、関西空港へつながる道路や駅前整備などの費用がかさみ、08年度決算で健全化法の黄信号にあたる早期健全化基準を上回った。このため10年間で職員を6割減らし、借金は最大時の832億円(12年度決算)から650億円(16年度決算)に圧縮。歳入増にも取り組み、16年度のふるさと納税は全国8位の34億8400万円。輸入ズワイガニなどの豪華返礼品をそろえる。

 人事院によると、地方公務員の定数は、法施行前の07年度は295万人だったが、16年度は21万人減って274万人になった。

 標準的な収入に対する借金返済額を示す実質公債費比率でみると、新たな借り入れ(起債)に国や都道府県の許可がいる自治体は、07年度の436から16年度は15まで減った。

 高知県須崎市も、15年度決算で起債許可団体から脱した自治体の一つだ。安倍政権が創設した1千億円の地方創生交付金を活用し、ゆるキャラも歳入増の一助にしている。

 08年度に健全化法の黄信号にあたる早期健全化基準以上だった自治体は21。13年度以降は一つもなくなった。赤信号とされる財政再生団体の夕張市が残るだけだ。

職員も住民も税収も減、負のスパイラル

 山口県の山陽小野田市は、財政…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら