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 指笛がリズムを刻み、チャンスには「ハイサイおじさん」――。第90回記念選抜高校野球大会初出場で、28日に登場した松山聖陵(愛媛)は登録選手18人の半分が「うちなんちゅ(沖縄人)」。懐かしい音色に背を押されながら、「二つのふるさと」への思いを胸にプレーした。

 チームを率いる荷川取(にかどり)秀明監督は1999年の選抜で沖縄県に初めて優勝旗を持ち帰った沖縄尚学の副主将だった。同県の中学生球児たちが、荷川取監督を慕って甲子園出場を目指して愛媛へ集ってきた。那覇市出身の主将、真栄城(まえしろ)隆広君(3年)は「愛媛と沖縄の二つの地元の人に成長した姿を見て欲しい」と語る。

 4番の平良倭麻(たいらかずま)君(3年)は同県名護市出身で、「県外に出たのは修学旅行くらい」。冬場に凍るグラウンドの土に驚いた。「県外出身の自分がメンバーに選ばれていいのか」と戸惑いも抱いた。だが、地元の松山市の人たちの声援に背中を押された。通学中に毎朝ごみ拾いをしていると、「頑張ってね」「応援しとるぞ」と声をかけてもらった。「勝手に不安がっていたけど、地元の人が応援してくれてうれしかった」。

 チーム内にも沖縄の輪が広がっている。京都出身の安本雄亮君(同)は「えーやー(ちょっと、お前)お茶とって」などと沖縄弁を口にしておどける。寮では沖縄から送られてきたソーキそば、油みそ、さんぴん茶にみなが群がる。この日の一塁側スタンドでは、沖縄出身の湧川輝星(わくがわひかる)君(2年)の指笛に合わせ、松山市出身の山口真之介君(2年)も大きな音で指笛を吹いた。

 試合は5―8で近江(滋賀)に敗れたが、随所に粘りを見せた。荷川取監督は「応援が選手を後押ししてくれた」と感謝した。愛媛出身の松尾理夢(りむ)君(3年)は「だんだん沖縄の応援にも慣れてきた感じ。陽気な曲で、リラックスして打席に入れた」と3安打の活躍。沖縄県浦添市出身の大城優太君(同)は「聞き慣れた音を聞いて、緊張がほぐれた」と4回に安打を放った。スタンドで見守った大城君の父の勝(まさる)さんは「しっかりやっているのを見て安心した。松山に行かせて良かった」と目を細めた。(藤井宏太、遠藤隆史高岡佐也子