客足絶えない小さなスーパー、廃業危機から復活のわけは
北沢拓也
新潟県五泉市橋田地区。田畑が広がる一帯に、客足が絶えない家族経営の小さなスーパーがある。かつては大型店との低価格競争に巻き込まれ、店主は廃業も覚悟した。そこから復活できたわけは、「おいしい」と「うれしい」を大切にしたことだった。
「ようこそ~」。女性店員があたたかい声で招き入れてくれた。木目の壁や柱が印象的な店内は、とても明るい雰囲気。スーパーの名前は「エスマート」。3代目の鈴木紀夫さん(47)が従業員とともに、廃業寸前から復活させた。
東京の大学を卒業後、大手スーパーなどで経験を積み、30歳でUターン。しかし、実家のスーパーは、業界の安売り合戦に巻き込まれていた。働けど働けど利益は出ず、客からは、他店はもっと安いと苦情を言われた。「スーパーは人の役に立たない仕事なんだ」。閉店するか業態を変えるか、毎日毎日考えた。
転機は10年前のある「事件…