[PR]

 約5カ月にわたった大相撲の騒動は、貴乃花親方(元横綱)の降格という形で一応の決着を見ることになった。同時に暴力問題を起こした2力士の出場停止処分も発表された。今後、日本相撲協会が暴力根絶へ向け、一体となって取り組めるかが試される。

 一時は協会トップの座をうかがった平成の大横綱が、階級ピラミッドの最下層、年寄まで降格された。もう後はない。再三、協会と対立した貴乃花親方への「最後通告」と言える。

 元横綱日馬富士による傷害事件を巡る対応で理事を解任された貴乃花親方。役員待遇委員に下がり、理事候補選の落選を受けて委員になった。さらなる降格となった今回の処分の根拠は大きく2点だ。

 まず暴行した貴公俊の監督責任。これだけなら、同様に弟子が暴行問題を起こした峰崎親方(元幕内三杉磯)と同等の減給が相当との見方があった。問題はもう一つの方、勤務態度だ。

 出勤要請をたびたび拒否し、来たと思ったら役員にあいさつして、すぐ帰る。声が聞こえて振り返ったら、もう貴乃花親方がいなかった、と話す理事もいた。暴行問題発生時も早退していて対応に当たれなかったのは痛恨だった。

 「これでやっと貴乃花親方と決着をつけられる」と色めき立つ声もあり、役員以外の親方衆で作る年寄会には「契約解除」を求める強硬意見が事実あった。

 「年寄会の意見は参考にする」と話すある理事は、「引きずられすぎてもいけない」とも言っていた。

 人気の高い貴乃花親方を追放すれば、協会が、世間から逆風にさらされるリスクもある。「板挟み状態だった」(協会理事)。降格より軽い業務停止など検討過程で別の案も浮かび、なかなか結論は出なかった。

 最終的に貴乃花親方の反省した態度も加味され、降格に落ち着いた。貴乃花親方は処分後、「真摯(しんし)に受け止める」とのコメントを出した。言葉通りなら、昨年から続いた対立は終わりを迎えることになる。(鈴木健輔)