2018年のプロ野球シーズンが、セ・パ同時にいよいよ開幕した。選手には独特の緊張感があるという「開幕戦」は、これまで多くのドラマを生んできた。

圧倒的だった3年連続完封

 1994年から96年まで、「3年連続で開幕戦に完封勝利」という離れ業をやってのけたのが、巨人の斎藤雅樹だ。右横手から伸び上がるような直球に、切れ味鋭いカーブ、抜群の制球力を武器に、1度目は広島、2度目はヤクルト、3度目は阪神に得点を与えなかった。特に3度目は、打者を27人で片付け、被安打1、四球ゼロの「準完全」という内容だった。

野村再生工場で劇的3連発

 翌97年の開幕戦。斎藤の前に立ちはだかったのが、ヤクルトの小早川毅彦だった。直球をバックスクリーン右へ、カーブを右越えへ、シンカーを右翼席へと運ぶ3打席連続本塁打。前年オフに広島から自由契約になり、野村克也監督が率いるヤクルトに移籍した。いきなりの活躍に「自分でもびっくりしている。どう打ったのか、あまり覚えていない」。1試合3本塁打は、高校からの野球人生で初めてだったという。

阪神の意地、星野監督にプレゼント

 「開幕戦で11年連続黒星」という不名誉な記録に終止符を打ったのが、阪神の井川慶だ。星野仙一監督の就任1年目だった2002年、開幕投手に指名されると、巨人を相手に1失点で完投勝利。「対巨人は、人生そのもの」という星野監督に、特別な白星をプレゼントした。

オレ流采配で大抜擢

 中日に落合博満監督が誕生し、初めての指揮を執った04年。「3年間もがき苦しんだ男の背中を押すことが、チームを生まれ変わらせるために必要だった」という理由で、開幕投手に川崎憲次郎が指名された。右肩痛で、過去3シーズンは1軍登板なしという中での大抜擢(ばってき)。二回途中5失点と結果は残せなかったが、「オレ流」という独自視点の采配に導かれ、チームはリーグ優勝を果たした。

あの選手は逆転満塁サヨナラ本塁打

 劇的な形で勝敗が決した開幕戦もある。

 94年の西武―近鉄戦。3点を追う西武は、九回に伊東勤が逆転満塁サヨナラ本塁打を放った。「サヨナラ満塁本塁打」は、05年に中日のアレックスも打っている。ただ、これは両チーム無得点から放ったもので、「逆転」まで含めると、伊東のケースしかない。

もう生まれない?サヨナラ負けも

 82年の大洋(現DeNA)―阪神戦は、悲劇的な結末だった。阪神の横手投げ右腕・小林繁が2点リードの九回に突如乱れる。同点とされ、なお2死一、三塁。敬遠策を取ったところ、暴投となり、サヨナラ負けを喫した。

 プロ野球では今季から、敬遠の申告制度が導入された。バッテリーは打者との勝負を避ける際に、4度のボール球を投げる必要がなくなったため、こうしたドラマはもう生まれない可能性が高い。(井上翔太)

開幕戦の主な記録

【最多先発】14=鈴木啓示(近鉄)、金田正一(国鉄、巨人)

【連続先発】12=山田久志(阪急)

【最多勝利(先発)】9=鈴木啓示(近鉄)

【最多敗北(先発)】8=金田正一(国鉄、巨人)

【最多奪三振】14=和田毅(ソフトバンク、09年)、平松政次(大洋、79年)