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 宮城県特産の海産物ホヤを、もっとたくさんの人に味わって欲しい――。ホヤの消費拡大に向け、あの手この手の働きかけが始まっている。韓国の禁輸で消費が伸びず、漁師らが苦境に陥っていることも一因だ。29日には南三陸町で「ほやまつり」も開催。郷土の珍味はこれから旬を迎える。

 集え、ホヤラバーズ!

 ホヤの国内消費を増やして漁師を支援しようと、ホヤ料理店を運営する会社社長が4月、「ほやラバーズ倶楽部(クラブ)」を設立した。年会費を資金に漁師から直接ホヤを買い付け、会員に特典として贈る取り組みで、会員を募っている。

 宮城県は国内一の養殖ホヤの産地。東日本大震災前は生産量の7割が韓国へ輸出されていたが、東京電力福島第一原発事故の影響で韓国が禁輸に。昨年は約6900トン、一昨年は7600トンが廃棄された。

 処分費用や漁師の減収分は東電が補償したが、今後も続くかは不透明だ。そんな窮地の漁師やホヤを救おうと、ホヤ料理店「ほやほや屋」(塩釜市)を運営する「涛煌(とうこ)」の佐藤文行社長(58)が倶楽部を立ち上げた。「不安を感じている漁師の力になる、直接的な支援をしたい」と話す。

 もともと、昨年11月から仙台市内で愛好会を開き、しゃぶしゃぶやチーズフォンデュ、かき揚げなど新しい食べ方を提案してきた。参加者からは好評で、「旬の夏だけでなく一年中食べられることを知ってもらえれば消費は増える」と可能性を感じている。

 倶楽部設立をきっかけに愛好会の回数を増やし、新しい料理の開発も進めようと考えている。今夏には収穫体験も計画中だ。

 年会費は一般会員(募集500人)が一口1万円、特別会員(同200人)が一口3万円。冷凍のホヤ計600グラムを年1回贈り、収穫体験ツアーの優先参加権もある。特別会員には一般会員の特典に加え、海中の養殖棚で熟成させた地酒とワインもプレゼントする。

 入会の問い合わせはフェイスブックの「ほやラバーズ倶楽部」専用ページか、涛煌(022・355・6106)まで。(福留庸友)

キャラ化・加工品にユニーク名

 親しみやすさを出そうと、ホヤをコミカルに取り上げる動きもある。

 ホヤをキャラクター化したイラストを描いたのは、宮城県女川町の堂賀貞義さん(61)。「町の特産品を食文化の一つとして広く浸透させたい」と張り切る。

 昨春退職した元町職員。長らく町管理の漁港担当として漁師らと付き合ってきただけに「何とかしたい」との思いが募った。2年ほど前、得意のイラストで擬人化したホヤをデザインしたところ、思いの外、親しみのあるキャラクターに仕上がったという。

 「ほやべー」と名付け、喜んだり、驚いたり、考え込んだりと様々な表情も与えた。ほやべーをあしらったクリアファイルやトートバッグも作製され、女川駅前商店街の町観光協会などで販売されている。「私もホヤが大好物。ホヤの広告塔になればうれしい」

 新しい味付けやネーミングでホヤの加工品を売り込むのは、同県石巻市流留の水月堂物産。今春、30年以上続くロングセラーの乾燥ホヤ「ほや酔明」のピリ辛味を新商品として発売した。箱の裏にはホヤにまつわる小話「ほやの世知辛い話」も載せている。

 甘酢で酸味を利かせた商品の名前は「あッほやねん」。1年前には引き出物やパーティー向けにと、「ほや酔明」の別名バージョン「新婚ほやほや」も始めた。常務の阿部壮達さん(36)は「ホヤの味わい深さを少しでも広めたい。そのためには話題づくりも大事だ」と話す。

 県や県漁協などは5月3日、様々なホヤ料理を競う「ほや祭り」を仙台市青葉区の勾当台公園で開く。今年で3回目。昨年はカレーやグラタン、ビビンバ、チヂミなど25種類の料理が提供された。

 県によると、ホヤの生産量は震災の津波で一時ゼロになったが、昨年は約6割の5269トンに戻った。ただ、県漁協によると需要に対する生産は過剰気味で、今年は種付け段階から調整し、5千トン規模の生産にとどめる予定だという。今後は首都圏など、大消費地での消費を伸ばせるかが課題となる。(加藤裕則)