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 エジプトの選挙管理当局は2日午後、3月26~28日に実施された大統領選の集計結果を発表した。現職で元国防相兼軍総司令官のシーシ氏が有効投票総数のうち約97%を得票し、再選した。唯一の対立候補で知名度の低い小政党ガッド党のムーサ党首は3%弱の得票にとどまった。

 登録有権者は約6千万人で投票率は41・05%。前回2014年の投票率47%を下回った。無効票は7%あまりあった。シーシ氏の2期目は6月にスタートする。憲法規定で大統領は2期8年間まで務めることができる。

 元首相や元軍参謀総長らの有力候補が立候補を断念したり、逮捕されたりして対立候補は知名度の低いムーサ氏だけ。シーシ氏に対する事実上の信任投票となったが、選挙戦は低調だった。選挙管理当局は「投票に行かなかった人には500エジプトポンド(約3千円)の罰金を科すことができる」と発言して投票率アップを図った。

経済に課題、国民に不満も

 シーシ氏の支持層は中間層から高所得者層が中心とされる。失業率の高い若年層の投票率は全体の投票率より低かったとみられる。

 14年の就任以来、シーシ氏はシナイ半島を拠点とするイスラム過激派との戦いでの国民の結束を求め、昨年4月には全土に非常事態を宣言した。経済改革では通貨切り下げ、補助金削減に踏みきり、高インフレ率などの痛みを伴うことにも国民に理解を求めてきた。今回の選挙で有権者はシーシ氏に治安の確保と経済再生へのかじ取りを託したことになる。

活動家ら拘束、政権批判抑え込む

 ただ、政権はデモ規制や人権活動家、記者の拘束などで政権批判を抑え込んでいる。国会議員も9割がシーシ氏支持で、野党は政権をチェックする力がない。国際労働機関(ILO)によると29歳以下の失業率は25%前後で高止まりしており、シーシ氏が2期目で経済分野での成果を出せなければ、若者を中心に国民の不満が噴出することになりかねない。

 シーシ氏は士官学校卒業後に陸軍入隊。11年のムバラク政権崩壊後の軍最高評議会では最年少メンバーだった。12年、当時のムルシ大統領が国防相に指名。13年に軍がムルシ氏を排除した後の暫定政権で副首相も兼務した。(カイロ=翁長忠雄)