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 カジノを含む統合型リゾート(IR)の実施法案をめぐる与党協議が決着した。成長戦略の一つと考えるカジノの規制を緩めたい自民と、ギャンブル依存症を懸念して規制を強めたい公明が歩み寄ったが、当初から指摘される問題点は解決されないままだ。

 IRはカジノの収益で国際会議場やホテルなどを運営し、海外の訪問客を呼び込むための複合施設。

 安倍晋三首相は2014年、シンガポールでIRを視察した際、「日本の成長戦略の目玉になる」と発言。政権は成長戦略のエンジンにと期待するが、識者らは法案の問題点を指摘する。

 一つは、刑法の賭博罪とされてきたカジノをどう合法とするか。推進派は、IRでのカジノを賭博罪の例外とするため、カジノ収益の30%を国と都道府県に納付することで「公益性」を確保するなどと説明する。

 ただ、多重債務に詳しい三上理弁護士は「公営ギャンブルは、収益を株主配当といった営利目的に使えない。その点が今回は違う。納付金を除いた70%の使途はカジノを運営する民間事業者次第になる。賭博で負けた人のカネを利益にできる仕組みだ」と話す。

 カジノ解禁に反対してきた公明の山口那津男代表も、合意前に行った3日の記者会見で「もともとは賭博。違法性を乗り越える議論が大事で、国民の理解が必要だ」とし、この問題が完全には解決されていないとの認識を示した。

 ギャンブル依存症を懸念する声も根強い。

 依存症対策として自公間で議論となったのは、入場回数の制限と入場料金だった。入場回数は政府原案通り、「7日間で3回、28日間で10回まで」の制限を設けることで決着。自公は、「週の半分に満たないペース。非日常性を維持できる」とした政府の説明を受け入れた。入場料金は、政府が最初に示した2千円から引き上げ6千円とした。

 だが、「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、今回の決着を疑問視する。

 土日の2日間に集中的に開催される競馬で依存症患者が後を絶たないことを理由に、「なぜ7日間に3回で依存症にならないといえるのか。入場料をとれば、元を取ろうとカジノに長く居座る。依存症対策として実効性があるのか」と話す。

 政府は今国会中に法案を提出し、成立をめざす。立憲民主、民進、共産など野党は法案に反対する方針だ。森友学園をめぐる文書改ざん問題などで野党が政権との対立姿勢を強める中、世論の反対が強い法案の成立に向けて政府が強引に進めれば、有権者の反発を招く可能性もある。(磯部佳孝)