【動画】舗装や塗装の新技術で高速道路での事故を減らす取り組み=田中恭太撮影
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 滑りにくい赤い舗装に、反射力の高いビーズを入れた白線――。昨年、全国で169人が命を落とした高速道路の事故を減らそうと、舗装や塗装の新技術が各地で導入されている。運転中にじっくり見ることはできないが、効果ははっきり見えるという。

 名古屋の中心部を走る名古屋高速都心環状線。事故多発地点だった12の急カーブで、事故件数がわずか数年で3分の1に激減した。秘密は赤い舗装「透水性レジンモルタル」。樹脂とセラミックを混ぜたもので、バスレーンなどを目立たせるのにも使われる。視覚面だけでなく、タイヤとの接地部分が増えることで滑り止めの効果もある。

 名古屋高速道路公社(名古屋市)によると、急カーブは半径約90メートルで、時速50キロに制限されている。環状線は時計回りの一方通行なので、追い越し車線は走行車線よりもカーブがきつい。速度も出がちだ。そこで、2009年の1カ所を皮切りに、13年ごろから追い越し車線に赤い舗装を施したところ、事故が14年度の227件から15年度は103件にまで半減。16年度はさらに76件に減ったという。

 07~14年度は年に100~200件台の事故が起き、公社の事故全体の約1~2割を占めていたことを考えると、相当の効果だ。公社はこれまで、青色回転灯をつけたり、公式キャラクター「ナコちゃん」のイラスト看板をつけたりして運転手の注意を喚起しようとしてきたが、どれも今回ほどの効果はなかった。公社の稲垣了史(さとし)・広報課長は「大きく効果が表れている。ほかのカーブでも必要があれば対策したい」と話す。

 透水性レジンモルタルは首都高速でも08年度から導入され、現在は事故の多いカーブ区間約50カ所で施されている。16年度に導入した8カ所で事故の発生数を調べたところ、事故は前年度より約7割減ったという。また、阪神高速も20カ所で導入しており、ここでも事故は5~8割減ったという。

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 白線も進化している。日本ライナー(東京)の新製品「スリットラインプラス9」には、オーストリアにある、クリスタルガラス「スワロフスキー」創業者の子孫の会社が製造した道路標識用のビーズが入っている。

 通常、白線に使われる塗料には、光を反射する小さなガラスビーズが混ぜられ、乾く前にもビーズをふりかけて反射を強める。日本ライナーではここで、小さなビーズを無数に固めた特殊ビーズを使っている。

 ビーズの数は多いほど光を反射するため、輝きは従来品の約3倍。路面がぬれていても、従来品の晴天時より反射性能は高く、視認性は良いという。確かに光を当てるとギラギラ感が強い。日本ライナー商品グループの田中慎吾さんは「今までになく輝度が高い」と話す。

 価格は従来品の約2倍だが、新東名高速などでは、霧が多く発生する地点やトンネルの出入り口などで採用され始めている。(田中恭太)

「自ら光る白線」開発中

 別の新技術も研究が進む。愛知県の研究プロジェクトの一環として、豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)の松尾幸二郎助教(交通システム工学)は道路舗装製造・販売会社「キクテック」(名古屋市)と共同で、普段は白だが、紫外線があたると赤や青に光る素材を使った道路標示を研究している。夜になれば白線が自ら輝きだす――。そんな未来が実現するかもしれない。

 また、路面表示の記号や文字を、プロジェクターで路面に投影する技術も開発中という。例えば、歩行者が横断待ちをしている時など、交通状況に合わせた注意喚起の「記号」を路面に映し出せるといい、今後は公道実験も目指している。

 松尾助教は「運転支援技術や車の改良だけでは、事故防止に限界があるかもしれない。道路の研究と改良を続けることで、その限界を超えたい」と話す。

特殊ビーズが使われている区間(いずれも一部箇所。ICはインターチェンジ、JCTはジャンクション)

●新東名高速

・新清水IC~新静岡IC(静岡県)

・御殿場JCT~新富士IC(静岡県)

●名神高速

・一宮JCT(愛知県)

●名古屋第二環状自動車道(愛知県)

●東名高速

・春日井IC~豊田IC(愛知県)

・東京料金所~大井松田IC(神奈川県)

・名古屋ICランプ(愛知県)

●中央道(長野県)

●常磐道

・浪江IC~常磐富岡IC(福島県)