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 抗がん剤治療による脱毛に悩む患者の力になろうと、山形県内の美容室約840店で組織する県美容業生活衛生同業組合(山形市)が専門知識を備えた美容師の認定制度を始めてから5年がたった。3月末現在で99店に134人いる。始まったきっかけは、県立中央病院の医師からの相談だった。

 「頭皮を傷つけて細菌が入らないよう、泡でなでるように優しく洗う。患者さんは治療で(細菌などと戦う)白血球が減っているから、特に気をつけないと」

 山形市小白川町で美容室を営む高橋美枝子さん(67)は、5年前に認定を受けた「薬剤性脱毛サポート美容師」だ。指先に込める力は通常の半分ほど。「せっかく生えてきた毛。すごく大事だろうから」

 がん患者とは必ず2人きりで接客する。ウィッグのカットや手入れの仕方、眉の描き方まで相談に乗る。これまでに男女20人ほどの患者が訪れたという。「新しい髪形を楽しめるような、前向きになれるような手伝いができればいいなって思うんです」

 2012年7月に県立中央病院の乳腺外科の医師から「髪が抜けたことで外に出たがらない人がいる。外見から支えることはできないか」と相談を受け、同組合で検討が始まった。それまで高齢者や障害がある人たちへの訪問美容などをしてきたが、薬剤の知識など知らないことばかり。半年以上かけて検討を続け、翌13年3月に講習にこぎ着けた。100人ほどが認定を受けたという。3年間で更新していく仕組みで、その後は毎年11月に開く。

 約8時間の講習では、がんの基礎知識を医師が解説。患者も講師として、がんが発覚した時や治療が進む際の気持ちの変化や、美容師に求めていることを伝える。頭皮に悪影響を与える薬剤の説明などの後、試験を受ける。2年ほど前からは、埼玉県や静岡県などからの参加もあるという。

 同組合の小山利夫事務局長は、まだまだ制度を知らない患者や美容師が多いと感じるという。「より多くの患者さんに制度を知ってもらうよう、努力したい」と話した。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(宮谷由枝)