拡大する写真・図版 「好きな選手がいる限り、野球を見ます。ユニホームだけを応援しているわけではないので」=飯塚悟撮影

[PR]

 プロ野球の2018年シーズンが開幕して1週間。「平成の怪物」と呼ばれた松坂大輔投手が移籍した中日が、今年は例年以上に注目を集めています。1970年代から中日ファンだという落語家の立川志らくさんに、中日への思い、野球の面白さを聞きました。

 45年以上、中日ファンです。子どもの頃、初めて父親に連れて行かれた試合が、神宮でのヤクルト―中日戦でした。子ども心に「ヤクルトって、飲み物じゃん」と思ってて、中日は新聞だってことを知らなかった。ユニホームも青で、単純にかっこよく感じたんですよね。

一番好きなのは、落合

 一番好きなのは、落合。彼がロッテで三冠王になったとき、師匠の立川談志がタクシーの中で「落合先生は、有言実行だねぇ。逆らっちゃいけねぇ」なんて言ってたんです。そこから意識した。軽くホームランを打ってる姿に「すげぇ」って。そしたらどういう訳か、中日に来たんだよ。そりゃ、うれしかったなあ。

 落合の魅力ですか? なんかね、うちの師匠と似てるんですよね。言うことがでかいし、「俺が一番だ」って自分に対して過剰に自信を持ってる。だけど、どこか気のちっちゃいところがあってね。世間からは嫌われるタイプだけど、好きな人はものすごく好き。「分かってくれる人だけ、好いてくれればいい」っていう生き方も似てるね。

 強くないドラゴンズを再建したのも、落合でした。2004年から監督になって「補強しなくても、優勝できます」と言ってた。こっちは「また始まった。優勝できるわけねぇじゃねぇか」と思った。でも、本当に優勝させるんですね。

 ひいきの選手を追いかけるのが、楽しいです。私の場合は、選手時代の落合が巨人に行っても、嫌いにはならなかった。談志は「巨人と阪神の選手と監督を全部入れ替えたら、ファンはどうすんだい? きっと阪神ファンは阪神を応援する。ユニホームを応援してんだよ」と言ってた。私はそうじゃなかったですね。

 かみさんと試合を見に行くと、ずーっと展開を読んでいるんです。将棋を指すときみたいに、色々考えながら「平田が下がったねぇ。ベンチの指示だな」とか。素人ながらも推測しながら、たいていは外れるんだけれども、たまに当たるとうれしい。「そろそろピッチャーも限界じゃないか」なんて言うと、横のかみさんに「監督か、あんたは」って突っ込まれる。

松坂の入団、いいこと

 今年は、松坂が中日に入ってきた。ものすごく、いいことじゃないですか、全国区で。それまでは野球ファンを除くと、知られているのは、マスコットのドアラぐらい。選手も、大関時代の稀勢の里のような、ここぞというときに力を発揮できないのが多くて……。

 久しぶりに中日が注目されている。落語も、お客がいっぱいの方が気持ちが盛り上がります。しかも「山田洋次監督がいらっしゃってますよ」とか言われて、その人のためにやると、いいものになる場合が多いですね。野球選手も、観客が増えて、付き合ってる彼女が来てたら、いいとこを見せたいと思うでしょ。まずそこからでいいから、一皮むけて欲しいですね。(聞き手・井上翔太)

     ◇

 たてかわ・しらく 1963年東京生まれ。85年、立川談志に入門し、現在は20人の弟子を抱える。劇団「下町ダニーローズ」を主宰するほか、映画監督、コメンテーターとしても活動している。