【動画】アニメ映画「火垂るの墓」で脚本・監督を務めた高畑勲さん=2015年撮影
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 あぶったチーズがトロリととろける。ただそれだけなのに、「アルプスの少女ハイジ」放送から44年を経て今なお、思い出の名場面として語り継がれる。丁寧な生活描写の中に命の喜びを込める高畑勲監督の作風が、くっきり表れている。

 革新者にして完成者だった。SFでもコメディーでもない「日常の暮らし」が1年間のテレビアニメになるのか。「ハイジ」で挑み、極めた。当時としては異例の海外ロケハンを敢行し、綿密な考証で生活の実感を裏付けた。

 戦前の兵庫・西宮などの街並みを正確に再現した上で、空襲の惨禍と、やせ衰えていく幼子を描ききった「火垂るの墓」はリアリズムの極みだ。「ホーホケキョ となりの山田くん」では、かすれて途切れた鉛筆の描線を生かして動かす実験に挑戦。その手法を、最後の作品「かぐや姫の物語」で過激なまでに突き詰めた。

 東映動画(現・東映アニメーション)時代の初監督映画「太陽の王子 ホルスの大冒険」から野心的だった。当時の政治闘争や組合運動を映し、団結する民衆や共同体内部の亀裂を描いた。「漫画映画」には異例の重いテーマだ。子どもでも大人でもない青年期の主人公らは、疎外感に苦しみ、善と悪に心を引き裂かれた。

 「パクさん(高畑の愛称)は、…

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