拡大する写真・図版 2013年、巨人との日本シリーズ第5戦に登板した楽天の則本。六回に坂本から三振を奪ってほえる

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 通算1千奪三振を達成した楽天・則本昂大の武器は何か。新人王をとった2013年のころと、1千奪三振を達成した今では、全く違うと思う。

 シーズン15勝をあげて新人王となり、楽天にとって初めての日本一に貢献した13年。イメージは「常に全力投球」だった。気迫にあふれる表情に加え、大きなフォームから適度に散らばる150キロ近い直球。「打席から見たら、絶対怖い」と思った。

 田中将大が大リーグに挑戦し、楽天投手陣の柱となった14年。魅力だった荒々しさは、要所でしか見られなくなった。直球、スライダー、フォーク。決め球を、丁寧に両コーナーの低めに置いていった。ことあるごとに、「コントロールを磨いていきたい」と言っていた。もったいないと思っていた。

 だが、数字は正直だった。

 奪三振数は前年の134個から204個に大幅増。この年から、4年連続で200奪三振を達成し、最多奪三振のタイトルを獲得。投球イニングも1年目を下回ったことがない。直球を決め球にしたとき、空振り三振よりも見逃し三振が増えているような印象だ。

 三重中京大でまだ無名だった時代を、監督だった中村好治さん(現・三重高総監督)が思い出す。「150キロのまっすぐがあっても打たれていた。変化球が入らんかったから。投球に幅を持たせないと。やっぱりコントロールって大事なんやなって」。制球力の大切さを説き、ドラフト2位でプロ入りするまでに育てた。この大学時代に受けた指導が、原点なのだろう。

 日本を代表する右腕となった則本にとって、三振とは。「直接チームの勝ちにつながるかと言えば、そうではない」。ただ、「完璧な投球を手助けしてくれる武器。奪える喜びもあるし、一番リスクの少ないアウトの取り方ですから」と、投球のよりどころにしている。

 昨季までのプロ5年間で991個の奪三振を積み上げ、今季はこの試合までに5個。いま、27歳。いつか体の衰えはやってくるし、球威も落ちてくる。それでも、則本には三振を奪える制球力がある。節目を越え、どれだけ三振を積み重ねていくのか楽しみだ。(小俣勇貴