拡大する写真・図版 日本レスリング協会の緊急理事会で藤沢信雄倫理委員長(右)から報告書を受け取る福田富昭会長=2018年4月6日午後6時27分、東京都渋谷区、藤原伸雄撮影

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 レスリング女子で五輪4連覇中の伊調馨(かおり)選手(33)=ALSOK=が、日本協会の栄和人・選手強化本部長(57)にパワハラ行為を受けていたとされる告発状が内閣府に出された問題で、協会は6日、調査を委託した第三者の弁護士による聞き取りの結果、伊調選手と、伊調選手のコーチだった田南部力氏への四つのパワハラ行為が認定されたと発表した。

 栄氏は同日付で強化本部長の辞任届を協会に提出。緊急理事会を開いた協会はこれを受理することを決めた。理事会後に開いた記者会見の冒頭で、福田富昭会長は「栄氏の言動がパワハラにあたると受け止め、伊調選手を始め、関係者におわびしたい」と話し、会長と幹部が頭を下げた。

 第三者委員がまとめ、協会が公表した報告書で、「明確なパワハラがあった」と認定した栄氏の四つの行動は、①伊調選手が、栄氏が指導する中京女子大(現至学館大)を離れて東京に転居した後の2010年、日本代表合宿で「よく俺の前でレスリングができるな」などと暴言を吐いた。

 ②10年世界選手権が開かれたモスクワのホテルで、伊調選手を指導する田南部力氏に対し「伊調の指導をするな」と発言。

 ③10年アジア大会(中国・広州)の選手選考で伊調選手が外されたが、本人に明確な説明がなかった。

 ④15年の代表合宿中、正当な理由があって外出した田南部氏に対し、「目障りだ。出ていけ」などと罵倒した。

 内閣府に提出された告発状は、栄氏が田南部氏に伊調選手の指導をやめるよう圧力をかけたり、伊調選手が練習拠点としていた警視庁を使うことを禁止したりしたなどと訴えていた。協会と栄氏は当初、これらの内容を否定していた。

 協会は3月8日、オリンパスの粉飾決算事件の第三者委員などを務めた弁護士3人をヒアリングを担当する第三者委員に選任。伊調選手や栄氏のほか、日本協会の福田会長らから事情を聴き、調査結果を5日に協会に提出していた。

 協会を監督する内閣府の公益認定等委員会は、協会とは別に聞き取り調査を進めている。(平井隆介、野村周平)