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 遺伝子検査を受けたら、実の父親は両親の不妊治療の担当医だった――。米西海岸ワシントン州に住む女性とその両親が、無断で自らの精子を提供したとして医師や病院を相手取り、損害賠償を求める訴訟を米北西部アイダホ州の地裁に起こした。

 CNNなどによると、アイダホ州で不妊治療を受けた両親が、医師の勧めに従い、人工授精することになった。第三者からの精子提供を受けるにあたり、両親は条件として、大学生で、父親と同じく身長約180センチ以上、青い目、茶色い髪の人を提示した。医師は条件に合う人が見つかったとして1980年夏に人工授精し、翌年5月に女の子が生まれた。

 そのとき生まれたケリー・ローレットさん(36)は経緯を知らぬまま昨夏、ネットを使って自らの家系を調べる遺伝子検査を受けた。送られてきた結果を見ると、父親欄に見知らぬ男性の名前が書かれていた。

 結果を聞いた両親は「打ちのめされた」。真実を打ち明けられずにいたが数カ月後、ローレットさんが出生証明書を発見。サインした担当医の名前は、検査結果の父親と同じだった。3人は今月、医師がウソをついて自らの精子を使ったとして、精神的苦痛や契約違反などの理由で、医師や病院を相手取り訴訟に踏み切った。

 すでに退職している医師はコメントしていない。

 戸籍制度のない米国では「ルーツ探し」のために民間の遺伝子検査サービスを利用する人が増えている。今回使われた「アンセストリー・ドットコム」は、会員同士で検査結果を元に同じ家系にあると思われる人をマッチングするサービスをしている。(ワシントン=香取啓介)