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哲学者・國分功一郎(寄稿)

 今から10年前、大学教員として働き始めた頃、組織の中で働いたことのなかった私は、事務の人たちが会議で、事あるごとに分厚い「規定集」を引っ張り出して文言を確認するのを見て驚いていた。大学事務のような組織では、何事も規定などの規則を後ろ盾にして進めなければならない。その意味をよく考えていた。

 ほとんどの国家の行政が採用している官僚制でも、事情は同じである。官僚は文書で書かれた規則や命令がなければ動けないし、動いてはいけない。窮屈な話だと思われるかもしれないが、この仕組みがあるからこそ、巨大で複雑な官僚組織が、決定された政策に沿って動くのである。むろん、規則にせよ命令にせよ、解釈に幅が出てきてしまうことはどうにもならない。だが、書かれた文書は、その幅をできるだけ狭めることができる。また、文書は残るから、問題が起こった時に責任の所在をはっきりさせるのに役立つ。

 これは言い換えれば、規則や命…

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