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 「引退したと思っている人もいるので、まだ現役でやっているんだぞとアピールしたい」。そんな思いで、競泳の日本選手権に出場した男子背泳ぎの入江陵介(イトマン東進)が、2冠を獲得した。長く日本のトップで泳ぎ続ける28歳。4度目の五輪となる2020年東京大会をしっかりと視界に入れている。

 16年リオデジャネイロ五輪を終え、米国に練習拠点を移して2季目。今大会で最初のレースとなった4月3日の100メートル予選の後、「後半流したのにちょっとビックリ」と振り返った。自分の感覚よりも0・5秒くらい速かったからだ。米国での練習を経て、進化を実感している。

 100メートルを53秒18で5連覇し、国際大会派遣標準記録をクリア。大会5日目の200メートル決勝も標準記録を切る1分55秒92で11度目の優勝を果たした。

 泳ぎのテンポなど微妙な感覚をこれから確かなものとし、ベテランの域に入って疲労との付き合い方も試行錯誤。国際舞台で再び活躍するにはさらにレベル向上が必要だが、「手応え、反省を踏まえ、米国で意識を高く持って取り組みたい。来年、再来年へ勢いを得られる1年にしたい」と力強く話した。

 一方で、自分を脅かす若手の台頭がなく「寂しい」とも。100メートル決勝で競り合ったのは30歳の古賀淳也(第一三共)。古賀も昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した50メートルを制し、100メートルでの東京五輪出場を目指している。

 男子背泳ぎは昨季、日本水泳連盟のインターナショナル標準記録で、決勝進出レベルの「A」を突破した選手がいなかった。「A」が3人いたバタフライや、メダル獲得レベルの「S」のいる平泳ぎと個人メドレーに比べ、確かに寂しい。日本記録は入江(100メートル、200メートル)と古賀(50メートル)が09年に作ってから更新されていない。入江は「高校生で引っ張る選手がそろそろ出てきてほしい」と期待もしていた。(松本行弘)