こんなにあるぞ移動図書館 離島結んだ船、今は飛行機も

 本を積んだ車で地域をめぐる移動図書館。全国各地ではさまざまな移動図書館が活躍している。一部を紹介する。

マルシェに便乗作戦(山形県新庄市

 緑につつまれた屋外でにぎわうマルシェ(市場)に便乗するのは、山形県新庄市立図書館の移動図書館「かやの木号」。雪のない5~11月の毎月第3日曜に開かれるマルシェのテーマ「肉フェス」、「お米とご飯のおとも祭」などにあわせた本を選んで駆けつけ、普段は本に興味がない人にも手にとってもらう作戦だ。ワークショップや子ども向けの紙芝居も開き、車のまわりには人だかりができる。

オフィス街、昼休みに長蛇の列(横浜市

 横浜市のみなとみらいで月2回、金曜昼に1時間限定の長蛇の列ができる。市立図書館の移動図書館車「はまかぜ号」がやって来るのだ。3千冊を積んで市内21カ所を巡回するうちの1カ所。オフィス街の真ん中で、昼休み中の会社員や、近くに増えている高層マンションに住む若い母親たちが詰めかける。行列の横で広げたシートの上では、ここをお散歩コースにした近くの幼稚園や保育園の子どもたちが絵本を広げてくつろいでいく。

「緑の中で本を」植物館に横付け(大阪府豊中市

 緑の中を散策するお供に本を選んでもらおうと、植物園に横付けする作戦を始めたのは、大阪府豊中市立図書館の「動く図書館 とよ1ぶっくる」。3月、市内の服部緑地都市緑化植物園の入り口につけた。あいにくの小雨だったが、出会いに足を止め、思わず本を手に取る人も。市としては全国の先駆けとなる1950年から運行を始め、このタイプの車になって6台目。普段は障害のある子どもたちの施設にも巡回している。

軽ワゴン車、障害者の家庭に(岡山市

 岡山市立図書館は4台の移動図書館車「あおぞら号」を巡回させる。中に入って本を選べる大型の書架を備え、3千冊、1500冊載せる車のほか、特徴的なのは小回りのきく軽ワゴン車2台だ。司書が選んだ600冊を積んで運転し、重い障害がある人の家を個別に巡る。移動図書館車が来る日に家を近所の人に開放し、一緒に本を選んで交流する人もいるという。

離島の図書館船、保存の動き(広島県

 瀬戸内に離島の多い広島県では、かつて、移動図書館車ならぬ移動図書館船が運航していた。1962~81年までの20年間、木造船「文化船ひまわり」が島々を巡り、本や映画を届けていた。県立図書館によると、地球2周半にあたる約9万2千キロを巡航し、45万人に70万冊を貸し出した。

 引退したひまわりは風雨にさらされ、2015年には解体されそうになったものの、地元の医師らのペンキを塗り替えるなどの保存活動を受け、尾道市は解体を中止した。16年からは保存に携わったメンバーらが歴史を語り継ぐ「文化船ひまわりまつり」を4月に開催。今年も4月22日に瀬戸田B&G海洋センター(尾道市瀬戸田)や市立中央図書館で開かれる。

1175万円のネット寄付で運行(鹿児島県指宿市

 「民の力」で4月から走り始めたのが、鹿児島県指宿市のブックカフェ車「そらまMEN(めん)」号。市立図書館を指定管理で運営するNPO法人「本と人とをつなぐ『そらまめの会』」がクラウドファンディングで協力を呼びかけ、全国の487人から約1200万円の寄付が集まった。中古車の購入や改造、500冊の絵本、1年分の運行費を賄う。名付け親は地元の税理士今林重夫さん(78)。経営する会計事務所の50周年記念行事のために積み立てていた200万円を「地元の文化のために」と寄付した。

飛行機で離島つなぐ「空飛ぶ図書館」(沖縄県

 「空飛ぶ図書館」もある。東京―大阪間を超える約500キロの範囲に多くの離島がある沖縄県では、県立図書館が「空飛ぶ図書館」の愛称で飛行機も使って県内の島々に本を貸し出している。あらかじめ千冊余りの本を選んで開催日までに飛行機や船で島の公民館などに本を輸送。その後、司書が現場に出向いて会場の長机に本を並べ、訪れる人たちの貸し出しや相談にあたる。昨年は24カ所で約40回開催した。