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 栃木県塩谷町大久保の鬼怒川河川敷で赤紫や黒紫のオキナグサの花が咲き、春を彩っている。株の数は約4千。今年は3月中旬から咲き始め、多くの人が観賞に訪れている。昔は町内のあちこちで咲いていたが、環境の変化で今は見られる場所が限られる。花を支えているのは近くの住民たちと、日々輝学園高校の生徒会による保護活動だ。

 オキナグサはキンポウゲ科の多年草で、高さ約20センチ。日当たりのいい草地や河原の土手などで育つ。県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に分類されている貴重な花だ。塩谷町は2014年7月に罰則つきの「希少植物保護条例」を制定し、保護してきた。

 だがここ数年も、盗掘や花を大量に切り刻むいたずらが後を絶たないという。群生地を守るため、近くの住民組織「大久保まちづくり推進委員会」(和気忠永会長)が保護や監視活動を行ってきた。

 植物の研究を数十年にわたって続けている同会の田代俊夫さん(89)の呼びかけで、町内にある日々輝学園高校生徒会も保護活動に協力してきた。14年に群生地で花の種を採取して校内の花壇に植え、2年後の一昨年に開花させた。そこから再び種を採り育てた株を、昨年6月に現地に移植。このおかげで、今年は昨年より株の数が多くなっているという。

 同町で育ち、町外に出た高齢の人たちにとって、オキナグサは忘れられない古里の花。この時期の鬼怒川河川敷は、幼い頃に遊んだ思い出を紡ぐ場所になっている。

 同町の実家を訪れた宇都宮市の中山美江子さん(85)は11日、町内に住む妹の若目田時枝さん(70)と、オキナグサの群生地に足を運んだ。うつむき加減に可憐(かれん)に咲く花を見て、「ここでよく遊んだし、もっと奥の方にはたくさん咲いていた。だけどこうして残っていると懐かしいし、うれしい。保護してくれたみなさんに感謝します」と話していた。(梶山天(たかし))

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