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 「女の子は遠慮してもらいたい」。日本相撲協会からのそんな要請で、8日に静岡市であった大相撲春巡業の「ちびっこ相撲」に参加予定だった女児数人が参加できなかったことが明らかになった。相撲協会は「安全面を考慮した」と説明するが、女児を指導してきた関係者らからは「子どもたちは楽しみにしていたので、残念だ」との声が上がった。

 巡業は同市駿河区のこのはなアリーナであった「富士山静岡場所」。地元有志らでつくる実行委員会によると、ちびっこ相撲には複数の小学生女児が参加予定だったという。

 だが、4日に相撲協会の荒磯親方(元幕内玉飛鳥)から、「(相撲協会の)本部の方からちびっこ相撲に女の子は遠慮してもらいたいと連絡を受けたので、お願いします」という内容の電話が実行委にあり、実行委は県相撲連盟にも連絡。女児の参加は見送られることになった。

 実行委によると、2015年に始めた富士山静岡場所では毎年ちびっこ相撲を実施しており、女児が参加した年もあったという。実行委の担当者は「こちらとしては協会の指示に従うしかない」と話した。

 相撲協会は女性が土俵に上がることを原則、認めていない。同じ4日には京都府舞鶴市の巡業で、土俵上であいさつ中に倒れた市長を救命していた女性に土俵から降りるよう求めるアナウンスがあり、協会の八角理事長が謝罪した。

 相撲協会は、女児が参加しないよう求めた件について「女人禁制」の話とは別とし、「女の子の顔に傷が残るとよくない。あくまで保護のためで、けがれなどの考え方は関係がない」と説明した。

 下村勝彦・県相撲連盟会長(75)によると、富士山静岡場所には教え子を含む女児5人が参加予定だったという。要請を受け、コーチから参加できない旨を伝えた。安全面を強調する相撲協会の判断について下村会長は「仕方ない」としつつ、「子どもたちはお相撲さんと触れ合えるのを楽しみにしていた。出られなかった女の子が来年こそは土俵に上がれればいい」と話した。

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 各地で行われる大相撲春巡業の主催者に朝日新聞が取材したところ、静岡以外でもちびっこ相撲に女子が参加しないよう日本相撲協会が求めていたケースがあった。

 6日に兵庫県宝塚市であった宝塚場所では、昨年は未就学児なら認められていた女子の参加が今回は認められなかった。参加者の募集を担当した市スポーツ振興公社によると、昨年は31人中4人が女子だったが、今回は協会側の要請で「男子のみ」で募集した。協会との窓口となる企業からは昨秋、「協会でそういう取り決めになった」と説明があったという。宝塚場所では、女性市長が土俵上であいさつを要望したが、認められなかった。

 要請される時期にはばらつきがみられる。静岡の場合、巡業4日前に連絡があったと主催者側は説明。一方、22日に東京都青梅市で予定している青梅場所では昨秋には要請があったという。主催者は開催の契約をした昨年10月、協会の立田川親方(元小結豊真将)から「ちびっこ相撲は男子児童のみでお願いします」と説明されたという。

 女子を認めているのに要請を受けていない主催者もいる。21日に東京・八王子である八王子場所ではちびっこ相撲の応募条件を「市内在住の小中学生(男子に限り高校生も参加可能)」としているが、主催する東京MXテレビは「要請は受けておりません」とした。(宮川純一、矢吹孝文)