一歩ずつ回復13年…笑顔の就職 宝塚脱線、重体の女性
石田貴子
13年前のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で5カ月間意識が戻らず、記憶が抜け落ちる高次脳機能障害を負った兵庫県西宮市の鈴木順子さん(43)が、仕事に就いた。寝たきりの生活からリハビリを重ねてきた。「お金になる作業ができるのはうれしい」と話す。
4月上旬、同県伊丹市のデイサービスなどの事業所。順子さんは両手で判を持ち、ゆっくりと書類に押す作業をしていた。「指サック、必要よね。年とったら脂気がなくなるから」。隣で見守る支援スタッフにそんな冗談も飛ばす。
母もも子さん(70)の知人に紹介され、1日4時間半程度の仕事を始めたのは、昨夏からだ。
2005年4月25日、順子さんは設計技術の勉強で大阪へ向かう途中、快速電車の2両目で事故に遭った。約5時間後に救出され、意識不明の重体だった。家族は医師から「もって3カ月」と告げられた。
意識が戻ったのは5カ月後…