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 ホテルを丸ごと貸し切りにしたり、和式トイレをすべて洋式に変えたり、人工島の一帯で交通規制をしたり。大阪でかつてない規模の国際会議に向けて、準備計画が練られている。来年6月に日本で初めて開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)だ。

 トランプ米大統領や中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領……。昨年7月にドイツで開かれたG20サミットには、国際政治を動かす世界の要人たちが顔をそろえた。そんな国際会議が来年6月28~29日に大阪で開かれる。

 「サミットは初体験。いろいろ壁もあると思うが、成功させよう」。今月2日、大阪府や大阪市、関西経済界などでつくる「G20大阪サミット関西推進協力協議会」の事務局の発足式があり、会長代行の吉村洋文市長が呼びかけた。

 大阪のG20サミットは大阪市住之江区の国際展示場「インテックス大阪」が会場だ。約35の国や国際機関の首脳ら計約3万人の滞在が見込まれる。その準備を担うのが協議会だ。府警や近隣自治体の職員も含め、約50人の態勢でのぞむ。

 最優先課題の一つが、宿泊施設の手配だ。

 各国の首脳や随行団には高級ホテルを割り振り、ほかの関係者らには予約専用サイトの開設を検討する。参加国によってはホテルをまるごと貸し切りにするケースも想定されている。

 大阪府内のホテルの客室は約6万2千室。高級ホテルの一部には、早い段階から想定される日程を伝えていたが、正式な手配はこれからだ。「訪日外国人客の増加で、大阪はホテル稼働率が高いので焦っている」(協議会の担当者)。一般の予約客にキャンセルを依頼する事態も想定され、対応を今後、検討する。

 インテックス大阪は普段は展示会などが開かれているが、来年4~6月のイベント予約の受け付けを延期している。「いつから準備で使われるか、わからないから」(担当者)だ。

 施設の改修も必須だ。インテックス大阪は開業33年が近づき、老朽化が進む。空調機も全513台の多くが開設時に設置されたものだ。6月末開催の暑さに備え、数億円をかけて最新の空調機への更新を決めた。ニュートラムの三つの最寄り駅では、トイレの改修を計画する。男女計13カ所の個室トイレのうち11カ所が和式で、今年度中にすべて洋式化する。

 とりわけ神経をとがらせるのが警備だ。

 開催日は金曜と土曜の2日間で、期間中を含めた数日間は一帯の交通を規制する。周辺の企業や学校、住民らに影響するため、協議会は早めに規制期間を決めて周知する方針だ。

 一昨年にあった伊勢志摩サミット(G7)は三重県の英虞(あご)湾に浮かぶ賢島(志摩市)が会場で、島民や参加者、事前登録した業者以外は島への出入りが制限された。インテックス大阪も人工島の咲洲(さきしま)にあり、咲洲に渡るための橋や阪神高速が規制される可能性が高い。

 咲洲には多くの貨物船が入港する港もある。会場近くのコンテナターミナルを拠点にトラックが積み荷を運ぶため、大阪市の担当者は「荷さばきや物流にも支障が出るのではないか」と心配する。

 一方で、G20サミットの開催は大阪をPRする絶好の機会だ。大阪誘致をめざす2025年万博の開催地が今秋に決まるのを前に、サミット開催都市としての大阪を紹介する広告を海外の新聞などに掲載することも検討している。国際的な知名度を上げて誘致活動を有利にしたい狙いもある。

 開催期間中には、首脳とともに来日する夫人らが地元住民らと交流する可能性もある。府幹部は「(トランプ米大統領の長女の)イバンカさんに大阪のことをツイッターでつぶやいてほしい」と期待する。

 ただ、課題は山積みだ。大阪市幹部はこう漏らす。「今後どれくらい大変なのか、誰もイメージできていないのが不安。ただ、失敗は許されない」(半田尚子、佐藤恵子)

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 《G20サミット》 Gはグループの頭文字。先進国のG7(日、米、英、仏、独、イタリア、カナダ)に、ロシアやインド、サウジアラビアなど12カ国と欧州連合(EU)を加えた20カ国・地域による首脳会議。2008年のリーマン・ショックを機に始まり、中国やブラジルなどの新興国も参加。毎年開かれ、首脳会議のほか、財務相・中央銀行総裁、外相、農業相などの関係閣僚の会合もある。