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 「桜、咲きましたけど」と往診先で娘さん。「うん?」。患者さんは97歳の寝たきりのお母さん。車で街を走っていれば、あちこちで桜が咲いているのは分かる。わざわざなんで。あっ、思い出した。正月の往診の時のやりとり。誤嚥(ごえん)して熱が出て、ゴロゴロして衰弱が進んだ時だった。「命、いつごろまで?」と娘さんに聞かれた。空気一瞬静止。「桜でしょうか」と答えた。娘さん、「はい」と覚悟された。節分が過ぎ雛(ひな)祭が過ぎ、熱は下がりゴロゴロも減少。小康を得た。梅が咲き、雪も解け、桜が咲いた。命は続いた。それで冒頭のせりふとなった。

 「あっ、申し訳ありません」「いえいえそんな意味じゃあ」。娘さんには義姉がいて、その人が「先生の桜は、来年の桜じゃない?」と助け舟を出してくれた。「弘前の」と言いかけていて、救われた。

 「娘が岡山の後楽園の桜、見に行こうって、いいですか?」と次の往診宅。82歳のがんの女性。小康を得ていて「どうぞ」と答えた。今年の春はおだやかで、人々の動きも活発になる。

 次は脳梗塞(こうそく)後の片…

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