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 高校野球や社会人野球などで使われる八橋球場(秋田市八橋運動公園)で長年グラウンド整備を務め、「八橋の住人」とも呼ばれるグラウンドキーパー(GK)がいる。中川誠さん(64)と佐藤雅之さん(50)。2人が忙しくなる季節が今年も始まった。

 高校野球の春季リーグ戦が始まった4月上旬。試合前のノックが終わると同時に、2人は他のGKらとともに小走りでグラウンドへ。できた土の穴を埋め、マウンドをならし、水をまき、ラインを引く。雨天ならばスポンジで水を抜く作業をする。試合開始までの10分ほどの間に手際よくこなしていく。

 中川さんは今年でGK歴47年目になる。4年前に秋田市職員を退職したが、再雇用されて続けている。10代の頃から半世紀近く、八橋球場のグラウンドを見守ってきた。

 「今年で65歳。この仕事をやれるのも長くない。正直、肩の荷が下りるよ」と笑う。それでも「やめたあと、家の中に1、2カ月もいたら、またやりたくなるのかもしれないな」。

 八橋球場のグラウンドは「プレーしやすい」と、選手や関係者に評判だ。それは、中川さんを中心としたGKたちの苦心や工夫の証しでもある。

 「毎年、グラウンド脇の側溝に流れた砂の量を計算して新しい砂を入れる。それでも『今年はちょっと失敗したな』『来年はこうしよう』と反省することは多い」と中川さん。試合の最中、選手のプレーではなく、その足元の状態につい目がいってしまう。

 土の配合や整備のノウハウを中川さんから継承してきたのが、市スポーツ振興課に所属する佐藤さんだ。今年で30年目を迎えた。「シーズン中は朝5時には起きる。まず天気が気になりますね。大会の運営側から、何分後に試合ができるようになるのかと意見を求められることもあります」

 ともに元高校球児。中川さんは金足農で捕手、佐藤さんは角館で投手だった。2人は市職員OBの野球チームに所属し、出場選手の合計年齢が500歳以上がルールの「500歳野球」で今もプレーする。

 「今年で夏の甲子園100回か。その秋田大会の半分近くで整備をしてきたんだなあ」。中川さんは感慨深げだ。(山田佳毅)

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