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 把握したすべての児童虐待情報について、愛知県が管轄する児童相談所(児相)で、県警と情報共有する取り組みを始める。これまでは児相が「重大な事案」と判断した場合に限って、県警と情報を共有していた。県警が、早期に虐待などの疑いがある情報を把握することで、深刻な事案へと発展することなどを防ぐ狙いだ。また県警は、名古屋市の児相にも県と同様の対応を求めていく方針。

 大村秀章知事が16日の定例記者会見で発表した。県と県警は18日に協定を結び、即日運用を始める。協定書で手続きを定めて情報提供をするのは、茨城県に次いで全国で2例目という。大村知事は「全事案を共有することで(児童虐待を)1件でも減らしていきたい」と話した。

 協定によると、児相は月に1度、受理したすべての児童虐待事案について、県警に児童の名前や通告の内容などを提供する。また、虐待や虐待が疑われる行為で児童がけがをしていたり、性的虐待と疑われる行為をされたりして、児相が深刻と判断したケースは、その都度、県警に連絡する。

 県警も、虐待をした保護者の逮捕や釈放など、子どもの安全に関わる情報を児相側に提供していく。

 2016年度に県の児相が虐待の相談を受けた件数は4297件で、12年度と比べて2・5倍に増加した。このうち、警察や家庭裁判所から児相に虐待の情報を提供した件数は2604件。一方、同年度に児相から警察への報告は、わずか14件だった。県によると、県警への連絡は、事件化が想定されたり、生命に危険が及んだりなど、児相側が重大と判断した情報に限ったため少なかったという。

 こうしたなか、昨年12月に愛知県大府市で2歳の幼児が母親に睡眠薬を飲まされた事件が発生。児相から県警への連絡が発生の2日後と遅れ、捜査が後手に回る可能性もあった。結局、県警が母親を緊急逮捕して事件として処理したが、児相側には県警から連絡態勢を改善するよう申し入れがあった。

 愛知県に対しては3月、各地の自治体に児童虐待の情報共有の強化を求めているNPO法人「シンクキッズ」(東京都、後藤啓二代表理事)から要望書が提出されていた。(田中恭太、鈴木春香)