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 東海大星翔高校(熊本)の野球部員6人が2月、熊本市東区の練習場近くで起きた火災を消火した。監督の言葉を忘れず、試合さながらの連係プレーで延焼を防いだ「お手柄」。日本高野連は今月、同部を善行表彰することを決めた。

 2月21日午後4時ごろ。東海大星翔高校野球部3年の今村勝生(かっせい)さん(18)と甲斐一真(いっしん)さん(17)は自主練習を終え、帰宅しようと自転車で坂を下っていた。「たき火かな?」。下った先の会社から火が上がっているのを見つけ、近づくと倉庫の中から炎が噴き出しているのが見えた。

 会社の事務所にいた女性が小さな消火器と携帯電話を持って出てきた。叫んでうろうろし、混乱しているのが分かった。甲斐さんはとっさに「代わります」と言って消火器を手にした。

 学校での訓練を思い出しながらピンを抜き、発射。しかし消火器は小さく、火の勢いが収まらない。近くには「火気厳禁」と書かれたタンクが見える。「燃え移ったらどうしよう」。今村さんは消火器を探した。

 3年の西岡太陽さん(17)と釜賀大地さん(17)、2年の本田悠真さん(17)も坂を下りてきた。今村さんが事務所で大きめの消火器を見つけて出てくると、西岡さんが受け取り火に向かって行った。

 西岡さんの夢は消防士になることで、職場体験をしたこともある。落ち着いて消火器の黄色いピンを抜いて噴射すると、火は徐々に弱まった。周りには「冷静」に見えたが、西岡さんは必死だったからか、火に近づきすぎて顔はすすだらけになった。

 本田さんは青いホースを見つけた。事務所の外の水道につなげようとしたが、取っ手が見つからず、急いで事務所の中の台所の蛇口につないで放水した。2年の竹下翔梧(しょうご)さん(16)も加勢。火は収まり、けが人も出なかった。会社の担当者は「すぐに気づいてもらい、とても助かった」と感謝する。

 火災を見かける前。この日の練習後のミーティングで監督の野仲義高さん(37)に、道ばたのゴミを拾うなど小さなことに気がついて、さりげなく当たり前に良い行いができるようになろう、と言われた。今村さんは「自分たちにできることをやっただけ」と話した。(杉山歩)