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 赤ちゃんの股関節は柔らかく、生まれたときに脱臼していたり、発育の過程で脱臼したりすることがあります。最近は、数が減っている半面、発見が遅れるケースも目立っているようです。保護者は何に注意すればいいのでしょうか。

 赤ちゃんの股関節脱臼は、早期に見つければ、装具で固定する治療で多くは治る。しかし、脱臼していても痛がるわけでも、脚が動かないわけでもないので、気付きにくい。治療が遅れ、股関節が外れた状態で成長が進むと、入院治療や手術が必要になる。大人になっても股関節の疾患など影響が残ることもある。

 多くは、骨格や関節の柔らかさなど身体的な要因に、出生後の環境が重なって生じるとされる。赤ちゃんの脚は、M字の形(カエルの脚のかっこう)に開いているのが自然な状態。おむつや衣服による締め付けや不自然な抱き方などで「脚がまっすぐ伸びた状態」になることが脱臼の要因になる。

 日本小児整形外科学会などによると、1970年代以前は珍しくなかったが、予防の啓発や脚が動かしやすい紙おむつの普及で10分の1に激減。発症の割合は千人に1~3人になったという。

 ただ、3~4カ月健診で多くは見つかっていたが、近年は発見が遅れるケースが目につくという。

 一般的に、望ましい治療の開始時期は、「遅くとも生後6カ月」とされる。同学会が2011、12の両年度、大学病院や小児病院、療育施設などを対象に全国規模で調べたところ、脱臼していた1295人の事例のうち、15・3%にあたる199件が、1歳以上での診断だった。この2割近い37件は医療機関で一度は脱臼が見落とされていた。

 調査したあいち小児保健医療総合センターの服部義(ただし)・センター長は「症例が減って、乳児健診を担う医師や保健師の経験が乏しくなっている」と指摘。「過去の病気という認識を改めることが重要だ」と話す。

 全国調査では、女児や寒い季節の生まれに脱臼が多いことも顕著に表れた。完全に脱臼していた事例の9割が女児。出生月別では、10~3月生まれが7割を占めた。女児は関節が柔らかいため。また、寒い季節に生まれると、厚めの衣服や布団によって脚を伸ばした状態になりがちで、発症が多くなるという。

 家族は、何に気をつければいいのだろうか。

 北野利夫・大阪市立総合医療センター小児整形外科部長によると、寝返りを始める生後6カ月ごろまでは、自由に脚を動かせるようにしておくのが基本。外側から両脚を締め付けるような衣服の着せ方や、きついおむつは避けた方がいい。抱き方は、M字の形に脚を開いた状態で赤ちゃんが親の胸にしがみつく格好になる「コアラ抱っこ」がおすすめ。おくるみや、横抱き、スリング(だっこ用の布)は脚が伸ばされやすく、注意が必要という。

 日本小児整形外科学会は、①向きぐせがある、股関節が硬くM字の形に脚が開きにくい②女児③家族に股関節が悪い人がいる④逆子で生まれた⑤寒い地域や寒い時期に生まれた――の5点のうち、複数に当てはまれば、乳児健診で脱臼の有無を確認してもらうことや、診断を受けることを勧めている。

 同学会のHP(http://www.jpoa.org/別ウインドウで開きます)の「公開資料」のコーナーでは、一般向けの予防と早期発見の手引きが紹介されている。