大人気「ハラダ」ラスク、売れ残りパンの再利用がルーツ

寺沢尚晃
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 春の叙勲に、群馬県内からは60人が選ばれた。社会の様々な分野で顕著な功績を挙げた人に贈られる旭日章は14人。公務や公共的な業務に長年従事した人に贈られる瑞宝章には46人が選ばれた。

旭日単光章 原田俊一さん(88)

 ガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」は、フランス語で「王様のおやつ」という意味だ。贈答品としても重宝され、いまや群馬を代表する洋菓子となった。「ガトーフェスタ ハラダ」の名で知られる菓子製造販売業「原田」(群馬県高崎市新町)の礎を築き、現在も会長の職にある。

 1901年創業の和菓子店の3代目として生まれたが、店も人生も戦争にほんろうされた。戦中戦後は砂糖をはじめ原材料がなかなか手に入らず、菓子作りはままならなかった。

 戦後復興期、配給用のコッペパンや食パン製造に活路を見いだす。やがて学校など大口に卸すようになり、経営が軌道に乗った。「実はラスクを作り始めたきっかけは、パンだった」と振り返る。

 売れ残ったパンはすぐに硬くなり、捨てなければならないのが嫌だった。何とか生かせないか――。模索の末に、ラスクとして加工することを考えた。

 食パンをカリカリに焼き、砂糖を煮てつくるフォンダン(摺蜜〈すりみつ〉)を塗った。この手作りラスクを2枚10円で店頭に並べると、小学生が列をなした。

 半世紀ほど細々とラスクを作り続けていたが、知人に「贈答用にできないか」と持ちかけられ、グーテ・デ・ロワを2000年に発売。爆発的なヒットにつながった。

 今は最初からラスクを作る前提でパンの生地を焼いている。それでも「ラスクのカリカリした食感の原点はパンづくりにある」という。使うバターなどの材料もつねに見直しを欠かさない。

 北は札幌から南は福岡まで主要都市のデパ地下などに出店しているほか、ネット通販でも全国のファンが買い求める。

 「砂糖が貴重だった時代を知っている。お菓子がつくれる時代は幸せだ」。ラスクを食べた人の笑顔を見るのが、一番の喜びだ。(寺沢尚晃)