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 仙台藩祖・伊達政宗をたたえる歌だったのに、「不敬」だとして禁じられた歌がある。政宗公没後300年にあたる1935(昭和10)年につくられた「御藩祖(ごはんそ)をどり」だ。歴史に埋もれていたこの歌が、83年ぶりに復活する。19日の仙台青葉まつりが、晴れ舞台になる。

 その年、仙台では政宗公三百年祭の記念事業がいくつも計画された。一つが仙台城跡の騎馬像建立、もう一つの目玉が歌の制作だった。西条八十が詞、中山晋平が曲を担当、「三百年 光いやます御藩祖さまよ」で始まる歌ができた。

 お披露目は、同年5月12日にあった仙台産業観光博覧会の開会式。ところが翌日、宮城県警が仙台市商工課長を呼び、治安警察法違反を理由に歌詞の普及禁止を命じた。歌詞の一節「祀(まつ)る玉座の十四代」の中の、「玉座」の2文字が問題とされたのだ。

 作詞者の西条によれば、政宗が仙台城内に天皇用の玉座を設け、日夜礼拝していたとの史実を基にしたという。特高警察はそれを、「玉座」は天皇陛下にのみ使う言葉だ、けしからんと目をつけた。

 西条は「特高に盾突くつもりはない」と、問題の一節を「残る誉の遥拝(ようはい)所」と修正。だが、再び歌われることはなかった。

 治安警察法や治安維持法が、人々の自由な表現や思想を縛った時代だった。三百年祭の名誉総裁だった斎藤実と顧問の高橋是清は、翌年の二・二六事件で暗殺。日本は軍国主義への道を転がり落ちてゆく。

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 封印された「御藩祖をどり」復活に奔走したのは、元仙台市職員で「地元学応援団」を自認する佐々木伸さん(63)。1935年の三百年祭について調べる中で、幻の政宗公賛歌のことを知ったという。

 歌詞は西条八十全集の中にあった。では、どんな旋律だったのか? 佐々木さんは昨年夏、長野県中野市にある中山晋平記念館にメールで質問。なんと、中山直筆の楽譜が残っていることがわかった。訪ねて確かめると、明るく軽快な踊り歌。「ソウトモソウトモ……」と、はやしことばも書き込まれている。

 「騎馬像と並んで、城下町仙台…

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