オウム、その名の由来は あの頃飛び交った用語振り返る

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オウム

 アルファベットでは「AUM」と書く。「A」は創造、「U」は維持、「M」は破壊を意味するサンスクリット語で、3文字で「無常」を示す。オウム真理教は、その真理を実践する宗教団体とされていた。

ホーリーネーム

 教団内で使われた宗教名。修行を通して一定の段階に達した信徒らに与えられ、松本死刑囚が命名していた。「アーナンダ」「ミラレパ」など、仏教の経典に登場する釈迦(しゃか)の弟子や、チベット密教の著名な修行僧から採られた名前も多い。

ヴァジラヤーナ

 教団が殺人の正当化に用いた教義。本来は金剛乗仏教を指すが、松本死刑囚は自分への絶対的な帰依を求めるため、自己流に解釈したとされる。元幹部らは公判で「ある人物のカルマ(業)をグルが見分け、真理に反し悪業を積むと判断すれば、救済するためにポアして肉体と魂を切り離す。それを現象界において実践するのがヴァジラヤーナの教え」と説明した。

ポア

 「死ぬことによって、魂がより高い位置に到達できる」との意味で使われた言葉。教団内では殺害の指示に用いられていた。松本死刑囚は説法で「悪業を積んだ人の命を絶ち、高い世界に生まれ変わらせることは、凡夫が見れば殺人だが、ヴァジラヤーナの教えが背景にあれば立派なポアだ」と述べていた。

サリン

 ナチス時代のドイツで開発された、有機リン系の猛毒神経ガス。脳内で神経伝達機能を助ける酵素の働きを邪魔し、呼吸困難やけいれんなどを引き起こす。無色無臭で気化しやすく、青酸カリの数十倍の毒性がある。1980年代にイランやイラクで使われ、93年に成立した化学兵器禁止条約によって製造や所持が禁止されたが、近年もシリアで使用疑惑がある。

VX

 有機リン系の神経剤。常温では液体で、皮膚から吸収され、自律神経などに作用して呼吸困難を引き起こす。サリンよりはるかに強力で、数ミリグラムが皮膚に付くだけで死亡する。教団はスパイと決めつけた男性や「オウム真理教被害者の会」の会長ら3人にかけ、1人を殺害、2人に重傷を負わせた。2017年に発生した、北朝鮮金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏の殺害事件でも使用された。

マインドコントロール

 情報を操作することで、ある人が考える理想の自分や社会、善悪の基準などをゆがめ、心理を操ること。教団は信徒らを隔離して情報を遮断し、睡眠不足や空腹の状態で教義を繰り返し耳元で説くなどして、こうした心理状態をもたらした。裁判で訴えた元幹部もいたが、減刑の理由にはならなかった。

省庁制

 教団が1994年6月、国家制度を模して採用した仕組み。「外務省」や「大蔵省」などを設け、トップは「大臣」「長官」に任命。松本死刑囚は「神聖法皇」と自称した。松本死刑囚は破壊活動防止法の弁明手続きで「面白半分で作った。私の仕事を減らすには、トップにステータスを与えないと、というので、大臣、長官ということになった」と説明した。

薬物密造事件

 教団では修行の一環として「イニシエーション」と呼ばれる儀式が行われ、途中からは幻覚剤のLSDや覚醒剤などを信徒に投与して「神秘体験」をさせていた。薬物の残留成分を体から抜くため、50度近い熱い湯に入れる「温熱療法」も行われ、死者も出たとされる。検察側は松本死刑囚らがLSDや覚醒剤などを密造したとして起訴したが、公判を早く進めるため、2000年に公訴を取り消した。