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 「ブラッドオレンジ」「ライチ」「アテモヤ」――。従来はより温暖な地域で栽培されてきた果実を育てる試みが、国内各地に広がっている。既存の果実栽培では暑さの悪影響が出始めているケースもあり、温暖化の進行を逆手にとった生き残り戦略だ。

 日本有数の温州ミカンの産地、愛媛県宇和島市。急斜面を登っていくと、高さ3メートルほどの木に、丸みを帯びたオレンジ色の果実がたわわに実っていた。イタリア原産の「ブラッドオレンジ」だ。

 独特のさわやかな香りがあり、生産者の児玉恵さん(52)は「温州ミカンより手間がかかるが、単価も高くおいしい」と話す。

 児玉さんを含む6戸の農家がブラッドオレンジの栽培を始めたのは2004年。当初、生産量は2トンにも満たず、独特の赤い果肉を見て「腐っているんじゃないか」と言う人もいた。だが、口コミで人気が広がり、今は約300戸、約340トンに成長した。生産されているブラッドオレンジは、甘みがある「タロッコ」と、酸味があり、果肉が赤黒い「モロ」の2種類。単価は温州ミカンの約2倍で、売上高は1億円を超す。

 栽培の背景にあるのは、地球温暖化だ。気象庁によると、日本の年平均気温は過去100年で1・19度上昇。宇和島市の場合、40年間で1・38度上昇し、15年時点の「5年平均気温」は17・16度。イタリア南部並の暖かさだ。

 その影響で、主力の温州ミカンには近年、皮と実が離れてぶかぶかになる「浮皮(うきかわ)」や、夏の高温による「日焼け」が目立つようになった。

 農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)によると、温州ミカンの栽培適温は年平均気温が15~18度。今後さらに温暖化が進めば、主要産地の愛媛や和歌山の大部分は将来、栽培に適さなくなる可能性があるという。

 こうした中で着目されたのが、…

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