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潜伏キリシタンの残照〈下〉

 1月16日、早朝。先日までの寒気はやわらいだけれど、それでも朝の空気は冷たく、打ち寄せる波の音も寒々しい。この日、生月(いきつき)島(長崎県平戸市)の切り立った崖下の海岸で、「だんじく様」と呼ばれる恒例の行事が執り行われた。

 ともすれば滑落しそうな心細い階段を下り、ようやく海辺にたどり着く。竹や草木に覆われ、岸壁から張り出したわずかな空間に、小さな石のほこらがあった。

 8時過ぎ、ロウソクに火がともった。クジラの皮入りのなますやご飯が供えられて、オラショの詠唱が始まった。山田集落の、だんじく講の信徒と漁業者の奥さんたち10人ほどが一心に拝む。その昔、ここで殉教した親子3人を慰める祈りである。

 言い伝えによれば、「だんじく」の茂みに身を寄せていた潜伏キリシタンの親子がいた。子供は遊び盛り。海岸へ出たところを船に乗った役人に見つかり、親子ともども皆殺しにされた。講の信徒は代々、この哀れな3人の霊を弔ってきた。「だんじく」とは竹の一種のことらしい。

 祈りは30分余りで終わった。

 「3人が斬り殺された。ほっと…

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