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 東京電力福島第一原発事故によって大阪市内に母子避難している森松明希子(あきこ)さん(44)が、3月にあった国連人権理事会で避難者が置かれている苦境についてスピーチした。25日、自身が代表を務める「東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream」の会合が大阪市天王寺区であり、その内容を報告した。

 国連人権理事会は3月19日、スイスのジュネーブで開かれ、森松さんは英語で2分間語った。人権理事会は昨年11月、日本の人権状況について217項目を勧告。このうち福島原発事故に関連して、自主避難者への住宅などの支援、特に子どもへの定期的な健康調査の継続、帰還決定プロセスへの住民参画など4項目の実現を政府に求めていた。これを受けて人権理事会は日本に関する会合を開催し、その中で森松さんのスピーチがあった。

 森松さんは、2011年5月、福島県郡山市から生後7カ月と3歳の子どもを連れて大阪市内に避難した。スピーチでは、事故後に放射能汚染の広がりが知らされず、汚染した水を飲んで母乳を与えてしまった後悔を語り、政府が放射線量の高い地域への帰還政策を推進している現状への危機感を表明した。最後に「脆弱(ぜいじゃく)な子どもたちをさらなる被曝(ひばく)から守ることに力を貸してほしい」と訴えた。

 日本政府はこの勧告に対して、「今後、適切に対応していく」と表明。森松さんは「避難者の帰還ばかり強要せず、勧告内容を着実に実行してほしい」と話した。森松さんは今回、フランスの3都市で企画された講演会にも講師として参加。避難区域ではない地域から避難した自主避難者が「勝手に逃げて賠償を求めている」と中傷を受けるケースなど避難者の置かれている実態を伝えてきたという。(中村正憲)