[PR]

 あの世で繰り広げられる落語ミュージカル――。そんな前代未聞の公演「ANOTHER WORLD」が27日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で幕を開けた。主演は星組トップスター紅(くれない)ゆずる。「宝塚で見たことのない世界観。お客さんに『よし、明日も頑張るか』と思ってもらえる作品になれば」と意気込んでいる。

 一体どんな舞台なのか。

 「まず、お芝居はほぼ全員が死んでいるところから始まります」と笑う。演じるのは、恋患いゆえにあの世に迷い込んだ大坂の両替商の若旦那・康次郎。彼の道行きに「地獄(じごく)八景(ばっけい)亡者戯(もうじゃのたわむれ)」「朝友(あさとも)」といった死後の世界を舞台にした古典落語がちりばめられている。稽古に入る直前には、初めて大阪の天満天神繁昌亭を訪れ、研究したという。

 今作の魅力を「落語の面白さのエキスを大事にしながらも、宝塚らしく、大勢の仲間の特色が次々に引き出されていくところ」という。康次郎は、上方のはんなりとした二枚目。対して、礼(れい)真琴(まこと)演じる徳三郎はチャキチャキの江戸の二枚目。「その対比をきちんと見せたい。そして、場を回しちゃう自分を封印して、特徴的な周りに踊らされていく役としてやれれば」

 大阪出身でコメディエンヌとしての感性は折り紙付きだ。作・演出の谷正純も「紅だから」と実現した作品だが、「笑わせてやろうと思ったら失敗する。人情物なので役として一本筋が通っていることが必要」と冷静に語る。

 ショー「Killer Rouge」では一転、激しい音楽とダンスで押せ押せの場面が続く。「全場面で見せ方を変えたい」

 今秋の台湾公演でも上演するショー。2013年の第1回公演に、柚希(ゆずき)礼音(れおん)が率いる星組で参加していた紅にとって、台湾公演への思い入れは格別だ。「まさか、台湾に主演で戻ってこられるとは。うれしいし、ありがたい。熱い思いで臨みたい」

 ショーでは、この春に入団した104期生が初舞台を踏み、ラインダンスをお披露目する。6月4日まで。(尾崎千裕)