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【アピタル+】患者を生きる・緑夢の挑戦(ひざ靱帯のけが)

 スポーツ選手にとって、ひざのけがはよくある故障の一つです。中でも靱帯(じんたい)の損傷は特に多く、競技や事故の状況によって様々なけがが起こります。関東労災病院(川崎市中原区)スポーツ整形外科の岩噌(いわそ)弘志部長に治療法やリハビリテーションの方法について聞きました。

 Q 靱帯の役割とは。

 A 靱帯は太ももの骨とすねの骨をつなぐ「ひも」のようなもので、ひざがぐらつかないようにする役割をしています。内側、外側側副靱帯は左右の方向に対し、前十字、後十字靱帯は前後方向のぐらつきを防いでいます。

 Q どんな場合にけがをしやすいですか。

 A 内側側副靱帯は外側からの衝撃で切れやすいので、ラグビーなどの接触で損傷を受けることがあります。外側側副靱帯は単独でのけがは少なく、ほかの靱帯損傷との複合で起こりやすいです。また、前十字靱帯はバスケットボールの着地などの際に、後十字靱帯は「ダッシュボード損傷」といって、自動車の衝突事故の際に、ダッシュボードがひざにあたることでけがをするケースがあります。

 

写真・図版

 Q 成田緑夢選手は左ひざのけがで、四つの靱帯のうち三つが切れていました。

 A アメフトやサッカー選手が競技中に転び、別の選手に上から乗られた場合などに、同様に複数の靱帯が切れるようなケースがあります。ひざが反対方向に曲がってしまった場合には、ひざの裏を走る血管や神経が引きちぎられることもあります。そのような場合は靱帯を治す前に、血管や神経を治す手術をします。

 Q 靱帯が切れた場合には、必ず手術が必要ですか。

 A 内側、外側側副靱帯は自己修復能力があるので、切れてもだいたいは自分でくっついてくれます。原則、手術は必要なく、2カ月程度サポーターで固定します。一方、前十字、後十字靱帯は自己修復能力がほぼないので、治すなら手術をするしかありません。ただ、バスケットボールやサッカーなど、足のひねりが必要な競技をしているスポーツ選手は、この靱帯がしっかりしていないとひざが外れてしまうので治すことになりますが、一般の方は手術はしないでも日常生活を送れます。

 Q 靱帯の手術方法は。

 A 世界では大きくわけて四つの方法があります。①人工靱帯を移植する②他人の腱を移植する③自分の太ももの裏にあるハムストリングスなどの腱を移植する④自分のひざの正面にある膝蓋腱(しつがいけん)を移植する、の四つです。ただし、人工靱帯はアレルギーを起こしやすい問題があり、他人の腱はエイズの感染リスクなどもあるので、日本では③と④が行われています。

 Q 腱の移植はどのように手術をしますか。

 A ひざを3センチほど切って腱を取り出したり、骨に穴を開けたりします。さらに5ミリ程度の二つの穴から、関節鏡というカメラや手術器具を入れて腱を移植します。最後に移植した腱をチタン製のボタンなどで固定します。

 Q リハビリはどのように進めますか。

 A けがや手術のあと、ひざは炎症を起こして、放っておくと硬くなってしまいます。そのままだと、ひざが伸びなくなってしまうので、できるだけ早くリハビリをする必要があります。関東労災病院では前十字靱帯などの手術では、翌日からひざをゆっくり動かすリハビリを開始します。10日ほどで松葉杖を使わずにすむようになり、退院できます。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・スポーツ>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・佐藤建仁)