[PR]

 ドル箱路線で他社と競合すると、ほかの赤字路線が維持できない――。岡山県を中心にバス事業などを展開する両備グループ(岡山市)が、新規参入を国が認可したのは違法だと訴えている問題で、競合他社の八晃(はっこう)運輸(同市)のバスの運行が27日、始まった。両備の労働組合は抗議のため、バスと路面電車を運賃無料で運行する「集改札スト」を同日朝から始めた。

 午前6時55分、岡山市東区。八晃の循環バス「めぐりん」の益野線の始発が出発した。両備の基幹路線・西大寺線に沿う形でJR岡山駅に向けて走る。市中心部は運賃100円均一など両備の路線に比べて30~55%安い。利用した岡山市中区の会社員女性(34)は「普段は車通勤だが、めぐりんの方が安い。バス通勤に切り替えたい」と話した。

 岡山市中心部で循環バスを走らせてきた八晃は昨春、この路線への参入を国に申請。両備は今年2月、年3億円近い減収になって全路線の維持が難しくなるとし、赤字31路線の廃止届を出した。3月に取り下げたが、今月17日には国土交通省に認可の取り消しを求めて提訴するなど反発を強めている。

 両備グループの両備バス労働組合(約480人)と岡山電気軌道労働組合(約180人)は27日、西大寺線と市中心部を走る路面電車全線で集改札ストを実施。料金箱に「運賃収受を行いません」と書いた布がかけられた。路面電車を通学で利用していた中学2年生の秋山創太さんは「無料になってうれしいけど、会社の経営が悪くなって路面電車がなくならないか心配」と話した。

 両備グループの小嶋光信代表は27日、「バス路線網が消えていく過当競争をあおる認可は理解できない」とのコメントを出した。同グループの広報担当者は「今回の間違った認可について改めるよう、今後も裁判などで国に訴えていく」と話している。

 八晃運輸は「担当者が不在のためコメントできない」としている。

 奈良県立大の新納克広教授(交通論)は集改札ストについて、「競合他社にダメージを与える効果を狙っていると考えられる。行政側への不満をアピールする意味もあるだろう」との見方を示す。(村上友里、沢田紫門)