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 女人禁制の是非を巡る議論のきっかけとなった京都府舞鶴市での大相撲巡業。一方で、あいさつ中に倒れた市長を助ける一連の処置に注目したのが、自動体外式除細動器(AED)の普及を目指す日本AED財団だ。映像を検証し、「救命の面から学ぶ点がたくさんあった」と、緊急メッセージを26日に出した。

 動画投稿サイトの映像をみると、市長が倒れると、心配そうに人々が集まるが、蘇生術はまだ行われていない。

 13秒後。女性が土俵に上がる。20秒後、男性たちをかきわけて心臓マッサージを始めた。「この素早い行動は理にかなったすばらしいもの」と同財団。「脈をみることは緊急時には時間のロスになる。呼吸の確認も心臓マッサージを始めてからでいい。即座に最悪の心停止を想定したのだろう」

 心臓マッサージも、ひじを伸ばしたまま強く速く絶え間なく行い、模範的だったという。さらに周囲の人に腕時計で時間の確認をさせるなど、てきばきと指示する様子がうかがえる。

 45秒後。突然の心停止から命を救うため心臓に電気ショックを与えるAEDを、呼び出しが届けた。「これはかなり早かった。すぐ心停止を疑い、取りにいくよう指示した人が他にもいたこと、AEDの場所を知っている人がいたことなど、すべてが理想に近い形で統合された結果」

 50秒後。「女性の方は土俵から降りてください」という場違いなアナウンスが流れる中、AEDの電極が胸に貼られる。心臓マッサージは別の女性に代わっている。「その間も心臓マッサージが続けられていたことが高く評価される。あのような場面では一人の力では限界がある。自主的に女性たちが集まったことは歓迎すべきことだ」

 1分15秒後。AEDが心電図解析を始めると、みんなが一斉に離れ、電気ショックが必要かどうかのAEDの音声診断を静かに待った。「両手を広げて周囲の人に離れるよう指示している人の行動も模範的だ」。AEDを使う時は、患者以外の電気信号をAEDが受けないように、他の人は離れ、音声を聞き逃さないよう静かにする必要がある。

 AEDは「ショックは不要です」という音声メッセージを出したと思われる。3分後、市長は担架で運ばれた。

 同財団の三田村秀雄理事長は「蘇生術の一部始終が映像でみられる。救命への教訓という点から、ぜひ一般の人々に参考にしていただきたい」と話している。(編集委員・中小路徹