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 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日、南北の軍事境界線をまたぐ板門店で11年ぶりの首脳会談を行い、朝鮮半島の「完全な非核化」実現を目標に掲げた「朝鮮半島の平和と繁栄、統一に向けた板門店宣言」に署名した。1953年7月から休戦状態にある朝鮮戦争を年内に終わらせる意思を確認。文氏が今秋、平壌を訪問することでも合意した。

 南北首脳による会談は、2000年に金大中(キムデジュン)大統領、07年に盧武鉉(ノムヒョン)大統領が、それぞれ北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記と平壌で会談したのに続いて3回目。北朝鮮の指導者が韓国側に入ったのは史上初めてだ。

 会談は、板門店の韓国側の施設「平和の家」などで行われ、うち約30分間は野外のベンチで2人だけで協議した。宣言への署名後、両首脳は共同発表した。正恩氏にとっては、韓国など西側メディアの前で初めての記者発表だった。

 会談では、①朝鮮半島の非核化②恒久的な平和の定着③南北関係の進展が主な議題になった。

 最大の焦点である非核化について宣言は、「南北は完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と明記した。ただ「完全な非核化」の具体策やその手法、期間は記されなかった。正恩氏は共同発表では、非核化や対米関係などに一切言及しなかった。

 正恩氏は6月初めまでに、「非核化の唯一の交渉相手」とみなすトランプ米大統領と会談する見通しだ。「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄」を短期間に行うよう求めるトランプ氏との会談で、正恩氏が非核化にどのように応じるかが注目される。

 一方、宣言には南北の平和構築と関係改善に向けて多くの要素が盛り込まれた。

 朝鮮戦争の「休戦協定」を「平和協定」に転換するため、韓国、北朝鮮、米国の3者、または中国を加えた4者の会談開催を積極的に進めていくとした。軍事的緊張を緩和するため、5月から軍事境界線一帯での敵対行為を中止し、幅4キロの非武装地帯(DMZ)を、「実質的な平和地帯」に変えることも掲げた。

 「南北関係の進展」をめぐっては、8月のジャカルタ・アジア大会での南北共同入場や、北朝鮮・開城(ケソン)への南北共同連絡事務所の設置などが記された。南北の鉄道や道路の連結といった経済協力にも触れたが、国連安全保障理事会による経済制裁が北朝鮮に科せられているため、今後、国際社会の反応をみながら南北で協力のあり方を模索するとみられる。両首脳は定期的な会談と直通電話を通じて、課題について議論を続けることでも一致した。

 共同発表で文氏は「朝鮮半島でこれ以上戦争は起きない」と強調。過去の数々の合意が実現しなかったことを念頭に「我々は決して後戻りしない」と話した。正恩氏も「歴代の合意のような残念な歴史が繰り返されないようにする」と語った。

 日韓はじめ各国のメディアが会談や共同発表の模様を生中継した一方、北朝鮮の国営メディアは27日夜時点で宣言の内容について報じていない。(高陽〈韓国北西部〉=武田肇

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