[PR]

加藤一二三さん(78)将棋棋士 旭日小綬章

 「ある番組に出た時、幼稚園児たちが『ひふみーん』と呼んでくれた。うれしかったですよ」

 今や毎週のようにバラエティー番組に出演する売れっ子だが、名人などのタイトルを通算8期獲得した超一流の将棋棋士だ。闘志あふれる対局姿で知られ、約63年間の現役生活で積み上げた2505対局は史上1位。受章について、「大変光栄なことで、心より感謝しています」と語った。

 1954年、14歳7カ月でプロ入り。藤井聡太六段(15)に破られるまで史上最年少記録だった。30歳ごろ不調に陥ったが、キリスト教の洗礼を受けた後、復調。82年には念願の名人を獲得した。「対局の後、実は95%負けている将棋だとわかった。それを勝てたのは、神のはからいだったと考えている」

 昨年6月、53歳下の若手に敗れ、史上最年長の77歳5カ月での引退が決まった。つい1週間ほど前、その対局に臨む夢を見たという。「勝つための作戦を必死に考えていた。頭の中では整理がついているつもりでも、心のどこかに『現役の棋士だったら良かったな』という気持ちが残っているんでしょうね」(村瀬信也