[PR]

憲法を考える~揺れる価値

 70年以上変えることのできなかった憲法を、ついに変えるときがきた――。そんな高揚感とともに語られる改憲論議。これから新しい国家の「物語」が始まるような感覚とつながっているように見える。その正体は何なのだろうか。

 1日、東京・永田町の憲政記念館であった新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)の大会で、中東を歴訪中の安倍晋三首相が託したメッセージが読み上げられた。「いよいよ私たちが憲法改正に取り組むときがきた」

 安倍首相が「自民党立党以来の党是で、結党者の悲願」と述べ、2020年の改正憲法施行という目標を掲げたのは昨年5月3日。それから1年、自民党は9条への自衛隊明記をはじめ四つの改憲項目をまとめ、動きを加速させてきた。

 4月14日、東京・渋谷のハチ公前広場では、若者グループ「にっぽん憲法プロジェクト」のメンバーが人の波に呼びかけていた。

 「憲法を変えて、日本の未来にわくわくしよう」

 メンバーの会社員、近藤大介さん(31)は「自分たちの手で自分たちに合ったものに変え、新しいストーリーを作りたい」。

 「未来」「理想」という言葉とセットで語られる安倍首相のメッセージは、改憲を求める人たちの高揚感と共鳴する。憲法を変えることに、特別な意味が込められているのだろう。

 自民党の誕生前、安倍首相の祖父、岸信介元首相(故人)は、後援会誌の1954年1月号でこう訴えた。「民族的自信と独立の気魄(きはく)を取り戻す為(た)めには吾々(われわれ)の手に依(よ)つて作られた憲法を持たねばならぬ」

 連合国軍総司令部(GHQ)による押しつけではない、「長い歴史と固有の文化」(自民党憲法改正草案)を持ち、「日本らしい日本の姿」(同党の10年綱領)を示す憲法を自分たちの手でつくる――。独立回復から今に至る改憲論の底流にある感覚だ。

 「日本らしい」憲法を作る第一歩。「文化の日」を「明治の日」にする動きも広がる。しかし、国家が独自の「物語」を作り始めると何が起こるのか。近代日本の歩みが示している。

■「明治維新」に、「違…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら