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 世界初の民間による月面探査レースをめざしていたチームHAKUTO(ハクト)の運営会社「ispace」(アイスペース、袴田武史代表取締役)。レース自体は今年3月末にどのチームも月に向かわないまま終了したが、ispaceは今年度から、月着陸船を自前で開発して2020年末までに月面に着陸し、探査する事業の実現に向け、新たなスタートを切った。本格的な宇宙開発の「実戦」に臨む。

 ispaceは、レース用の探査車の開発を進めながら、レース後の宇宙開発事業への参入を模索してきた。技術者を増やして着陸船の開発を進める一方、昨年12月には約101億円の資金を、産業革新機構や日本政策投資銀行をはじめ、通信や建設会社などの大手企業から調達。起業から間もない宇宙ベンチャー企業としては世界最大級の額だという。

 ispaceは、開発期間をミッション1とミッション2に分けて設定。ミッション1では、19年末にも月着陸船を打ち上げ、20年までに月周回軌道へと投入する。ミッション2では、21年までに月面に着陸させ、搭載した探査車で月面走行をめざすとしている。この着陸船に、レースで開発した探査車を改良したものを載せるという。

 ハクトが参加していたレースでは、ハクトは探査車をインドの着陸船とロケットで月に送る予定だったが、インド側の資金不足などで打ち上げができなくなった。新たなミッションではこうした外部要因によるリスクを減らすことが見込める。

 袴田氏は「ハクトのローバーを月面に行かせることはできなかったが、我々が積み上げてきたものは価値あるものになった。レースに参加したハクトがあったから今回のように次のステップにいける。非常にいい機会だった」とレースの意義を評価する。

 今年度からの新たな事業について、袴田氏は「民間で月面探査をやっていくことを我々は一番重視している。20年から宇宙の商業化が始まるとみているので、その時までに我々は月面開発のための技術を確立し主なプレーヤーになる。そしていち早く開発を実現し、宇宙の新しい時代を切り開く」と話す。

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 ハクトが参加していた月探査レースは、最終段階まで残ったハクトを含む5チームが期限までに打ち上げを実現できずに「勝者なし」で3月末に終わった。ただ、レース主催者の米エクスプライズ財団は今年4月上旬、新たなスポンサーを募集し、賞金なしでレースを再開する意向を示した。ハクトはレースの詳細が決まり次第、再参加するかどうかを決めるという。(井上未雪)