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 甲府市の山梨学院高校の副主将として2年前に甲子園出場を果たし、卒業後にラッパーとして歩み始めた元高校球児の歌が、この夏の高校野球山梨大会を中継するケーブルテレビに応援ソングとして登場する。曲をつくる際に思い浮かべたのは、自身が1、2年生の時、夢舞台をつかむことができなかった先輩たちの姿だ。

 「H―PICE」(エイチ・パイス)として活動する椙浦(すぎうら)光さん(20)。高校球児にエールを送る「The way I am」を作詞作曲した。甲府市の日本ネットワークサービス(NNS)が運営し、第100回全国高校野球選手権の山梨大会を中継するケーブルテレビで応援ソングとして流れる。

 「今まで野球を通して見てきた光景や感情を振り返り、高校球児に向けてどのような歌を届けられるか。長い時間をかけて考え、悩んだ」と振り返る。

 昨年も自らの野球経験をもとにした応援ソング「約束の場所」を発表。応援してくれる両親への感謝の気持ち、つらい練習の日々を乗り越え、夢舞台である甲子園に向かう気持ちをストレートにぶつけた。

 「いつか叶(かな)うそんな保証なんてどこにもないのに」

 「自分らしく」という意味の新曲「The way I am」はこう歌い出す。「きれいなことばかりではない。どんなにつらい練習をしても、負けることはあるし、悔しい思いのまま引退する選手も大勢いる」

 思い浮かべたのは、山梨大会を優勝した2016年ではなく、それぞれ準決勝、3回戦で敗れた14年と15年のことだ。厳しい練習を積み重ねてきた先輩たちが負け、泣きじゃくる姿を、後輩の1人として見てきた。

 「夢は追えば叶うなんて今更思ってない 叶う叶わないよりそれを追うことでお前は輝いているから 同じステージに立つFRIENDS歌おう お前はお前らしくな」

 自らのつらかった経験にも思いを巡らせた。左手の親指を骨折し、思うような結果を残せなくなったことがある。誰もいなくなった夜のグラウンドで、無我夢中で、悔しさで涙を流しながらバットを振り続けたこともあった。

 甲子園の舞台に立つことがすべてではない。「球場は、今までに培った力をベンチ、スタンド関係なく出し尽くし、一人ひとりが輝く場所。ひたむきな努力は、たとえ負けてしまっても生き続ける」。そう自信をもって言い切れる。ラッパーの道に飛び込む勇気を持てたのも、野球を通して夢に向かって努力する力を養えたからだ。

 グラウンドという同じ場所で、野球という同じ経験をしたからこそ紡げた言葉を音に乗せ、高校球児にエールを送る。(市川由佳子)

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