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 岡山市で開催中の日本感染症学会・化学療法学会の合同学会で1日、沖縄や愛知で流行している麻疹(はしか)に関する緊急シンポジウム「忘れかけていた麻疹の流行」が開かれた。前日に告知されたが、朝7時半の開始前から聴衆約700人が詰めかけ、会場は満員。現地からの報告と対策の最前線に、熱心に聴き入った。

 最初に国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長が「麻疹の現状と今一番大切なこと」と題し、麻疹の基礎知識を紹介。発熱、全身の発疹、口の中の白いぶつぶつなどの典型的な症状がそろわない「修飾麻疹」と呼ばれる病態が増えており、診断が難しくなっていると指摘した。

 続いて今年の流行の現場となった沖縄と愛知の医師らが現地の詳細を報告した。

 3~5月に約100人が発症した沖縄県の椎木創一・県立中部病院感染症内科副部長は、最初の患者が来院した時、診察した研修医が診断できなかったと明かした。「若い医師は、生の麻疹患者を診る機会がほとんどなくなっている」と指摘。最初に患者を診る医師が麻疹を疑えるかどうかが対策の鍵を握ると話した。

 愛知県衛生研究所ウイルス研究室の安井善宏室長は、県内で4~5月に発症した24人の患者について、感染のつながりを丹念に追った疫学報告をした。

 安井室長によると、24人は10~30代が9割を占め、3分の1はワクチンをうっていなかった。24人中21人は、感染につながりがあった。

 4月9日にある病院を受診した10代の男性を発端に、その病院のスタッフや患者ら計8人が感染。この患者が翌日受診した別の病院でも感染者が出た。これらの二次感染者から、さらに学校や同居家族らに広がったという。残りはタイで感染した1人と経路不明の2人だった。この解析で、ワクチン未接種の人から人へ伝わって感染がつながったことが明らかになった。

 司会を務めた川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「ワクチンは接種しても発症するからむだという人もいますが、軽症化し、他人にうつす力はなくなります」と話し、免疫を確実につける効果が高い「2回接種」を確実にしていくことが大切だと強調した。そして最後に、会場を埋めた参加者たちに呼びかけた。「流行はどこでも起き得る。日本が麻疹の排除状態を続けていけるのか、この流行が終わってからが勝負です」(中村通子)