水俣病「救済終わっている」チッソ社長発言 慰霊式後に

田中久稔、奥正光
【動画】悲惨な公害を二度と繰り返さないことを誓った水俣病犠牲者慰霊式=清水優志撮影
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 水俣病の公式確認から62年を迎えた1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。参列した原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が式後の取材に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業子会社JNC株売却要件の一つである「救済の終了」について「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と述べた。

 現在も患者認定を求める人がおり、訴訟も続いていることから患者・被害者団体からは「加害企業としてあるまじきことだ」と批判の声があがっている。

 後藤社長は、JNC株の売却について「ぜひやりたいと思っています」と意欲を示した。チッソはこの株を売却した後、会社の清算が可能になるため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。

 水俣病の「最終解決」を掲げる特措法では「市況の好転」と「救済の終了」を条件に、環境相の承認を得てJNC株を売却できる手続きが盛り込まれている。今回の発言を受け、中川雅治環境相は「現時点で救済の終了とは言いがたい」との見解を示した。

 後藤社長は昨夏、最高顧問から社長に異例の復帰を遂げ、7年ぶりに慰霊式に出席。取材に「救済とは特措法(水俣病被害者救済法)による救済という意味。あたうかぎり(可能な限り)広く救済したわけです」と答えた。特措法に基づく救済策は2014年に対象者の判定が終わっている。後藤社長は現在も続く訴訟の原告らを念頭に「いろいろ紛争がありますけども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですから」とも述べた。

 原告らが所属する水俣病不知火患者会の元島市朗事務局長は「被害者が救済を求めて裁判を続ける現実を見ていない。被害者に対する冒瀆(ぼうとく)だ」と批判した。水俣病被害者互助会の谷洋一事務局長は「自分たちが水俣病で何をしたのか理解していない」と述べた。(田中久稔、奥正光)