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 「車椅子の物理学者」として知られ、3月に76歳で亡くなった英国のスティーブン・ホーキング博士が生前、最後に書いた論文が2日(日本時間3日)、独物理学誌に掲載された。宇宙が膨張し、現在のように安定するまでを「スムーズに」説明できるという。

 宇宙は約138億年前、突然、加速的に膨張して始まったとされる。この「インフレーション理論」が提唱されると、膨張は永遠に続いているのではないか、宇宙はたくさん生まれているのではないかという「多次元宇宙」など、派生する理論が100以上考えられてきた。

 ホーキング博士はこれまで、アインシュタイン博士が編み出した相対論と、ミクロの世界を扱う量子論を組み合わせてブラックホールの蒸発などを予言。晩年は若い物理学者とひも理論を研究していた。論文は「永遠に膨張する複雑な多次元宇宙でも、ひも理論を組み合わせれば簡単に示せる」と主張。人工衛星で重力波を観測すれば、証明できる可能性もあるとした。

 インフレーション理論を提唱し、博士と長年交流があった東京大の佐藤勝彦名誉教授は「晩年になっても最新の理論に挑戦し続ける姿勢は実に彼らしい」と語った。(東山正宜