拡大する写真・図版 障害者施設「津久井やまゆり園」の東側居住棟。植松聖被告は右端手前の部屋の窓を割って侵入し、19人を殺害した後、管理棟から逃走した=2018年5月6日午前11時52分、相模原市緑区、朝日新聞社ヘリから、仙波理撮影

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 2年前の7月に入所者19人が殺害される事件が起きた障害者施設「津久井やまゆり園」(神奈川県相模原市緑区)で7日、建物の一部の取り壊し工事が始まった。事件現場となった居住棟などが来春までに壊され、新たな施設が建てられて2021年度には使えるようになる予定。

 この日は午前8時半ごろ、園の正門に資材を積んだトラック2台が入り、仮の囲いを設けるなどの作業が進んだ。

 事件で重傷を負った尾野一矢さん(45)の母、チキ子さん(76)はこの様子を見守った。一矢さんは現在、横浜市港南区の仮入所先で暮らす。チキ子さんは「津久井やまゆり園ありがとう」と涙ながらに話し、「楽しみに通ったのを思い出す。またその日が来ることを信じている」と言葉を絞り出した。

 入所者の家族会の大月和真会長(68)は「高い仮囲いは絶望の壁ではなく希望への扉と受け止め、これから一つひとつのプロセスを納得しながら進め、悔いなきよう見守っていきたいと思っています」などと弁護士を通じてコメントを出した。

 設置者の神奈川県は昨年、小規模な施設を分散して建て直す構想を入所者の家族に提示。これまでの園の場所と、港南区の仮入所先に132人分の居室と日中の活動の場などになる拠点施設をつくり、入所者の希望を聞いてそれぞれの定員を決める方針だ。

 一方、殺人などの罪で起訴された元職員の植松聖(さとし)被告(28)については、横浜地裁が今年1月、精神鑑定のための留置を決定。公判の時期は決まっていない。(飯塚直人)